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14代目を最後に一旦眠りについた、名車ユーザー若返りの救世主。高級スポーツセダン、トヨタ クラウンアスリート

クラウンアスリート 査定

トヨタ クラウンといえば現在でも『トヨタ』ブランドの一般向け(プレジデントを除くという意味)最高級車というイメージですが、近年はユーザーの嗜好に合わせた様々なモデルを派生車のように登場させています。その中でもスポーツセダン志向のモデルとして登場、見事にその役割を果たしたのがクラウン アスリートでした。2018年6月に発表された最新の15代目クラウンからその名は消えたとはいえ、事実上クラウン アスリートの後継車です。

目次

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各代の概要と時代背景

11代目でアスリートがフルレギュラー化する前の『走りのクラウン』

今でこそ高級スポーティセダンとしてのキャラクターが強くなったクラウンですが、かつてはタクシーなど商用、公用車、富裕層の個人ユーザー狙いな高級セダンでした。

1955年の初代登場以来、内外装を高級化する『デラックス路線』を国産車に浸透させたクラウンとスポーツイメージは当初無縁にも思えましたが、1963年の第1回日本グランプリ(鈴鹿サーキット)以来、少々事情が変わってきます。

レースが開かれ、しかもそこに参戦可能な車種を販売しているとなると、装備面や快適性だけでなく、レースでの成績も販売に直結すると考えたトヨタは、レース前にメーカー間で取り交わされた紳士協定を無視して出場車両をチューニング。

当時の大型セダンで戦われるクラスに出勝した4代目クラウンもサスペンションなどを強化して、外国人ドライバーの果敢なドリフト走行で追い上げるいすゞ ベレルを振り切って見事に優勝を果たしました。

こうして出場クラスで優勝を総ナメしたトヨタは、新聞広告でもそれを大々的にアピールして販売成績を上げライバルを歯ぎしりさせますが、ここからクラウンのスポーツイメージ構築と個人ユーザーへのアピールが始まったと言えます。

この2代目クラウンには1965年11月にツインキャブでハイパワー化、フロントディスクブレーキやタコメーターを装備するスポーツグレード『クラウンS』が設定され、これがクラウン アスリートのもっとも古いご先祖です。

3代目からは2ドアハードトップボディ(1968年10月追加)が設定されて『走りのクラウン』は主にそちらが担当することになり、5代目からは4ドアピラードハードトップ(1974年11月追加)も設定。
6代目ではターボ車(1980年10月追加)や2.8リッターDOHCエンジン車(1981年8月追加)が設定され、7代目では4ドアハードトップにフロントスポイラーやスポーツサスペンションなどを装備した特別仕様車として『アスリート』が初登場。

アスリートは8代目にも特別仕様車として登場後、3ナンバーボディにカタログモデルとして追加したアスリートLも設定されますが、9~10代目はスポーティグレードは『ロイヤルツーリング』として展開されました。

本格的にスポーツセダンとしてアピールすべく、『アスリート』が最初からスポーツグレードとして登場するのは11代目からとなりますが、2代目以降クラウンのスポーツグレード自体は絶えることなく設定されていたのです。

総合概要:高級スポーツセダン・クラウンアスリート

クラウンは2018年まで販売された14代目までいくつかのバージョンに分かれており、最盛期には以下のモデルが『クラウンシリーズ』を為していました。

・クラウンセダン:伝統的な公用車、社用車、タクシー / ハイヤー、教習車などビジネスユースモデル。
・クラウン ロイヤル:初代クラウンデラックス以来の高級ラグジュアリーモデル。
・クラウン マジェスタ:9代目クラウンから設定されていた最高級モデル。
・クラウン アスリート:スポーティモデル。

このうち11代目から設定されたクラウン アスリートは、『保守的な高年齢層が好む高級セダン』であり、かつて『いつかはクラウン』キャッチコピーでクラウンに憧れた世代でユーザー層が止まる『クラウン離れ』を防ぐための切り札でした。

従来からの保守層ユーザーは『ロイヤル』や『マジェスタ』に受け持たせ、ハイパワーエンジンにスポーティな走りに向いたサスペンションや内外装を持たせ、思い切ってスポーツセダン化したクラウン アスリートはユーザーからの熱い歓迎を受けます。

保守層や高年齢層のユーザーでさえ『クラウンのロイヤルサルーンで落ち着くのは老けこんだようで嫌だ』と考える人は多かったようで、やがてアスリートはクラウンの販売台数で主力になるまで成長しました。

2018年6月に発表された15代目クラウンからは『アスリート』の名は消えますが、事実上ロイヤルやマジェスタを吸収したアスリートの後継車が15代目であり、ユーザー層の若返りを見事成功させて役割を終え、発展的に消滅したことになります。

アスリート初のカタログモデル化・8代目代S130系(1989-1991)

それまでスポーティな特別仕様車として登場するのみだったクラウン アスリートが、初めてカタログモデル化されたのは、1989年8月にマイナーチェンジを受けた8代目後期型でした。

この当時、税制変更で3ナンバー車に対して課されていた高額な自動車税が無くなって単純に排気量で税額が決まる制度に移行、大排気量でも2リッター以下の5ナンバー車があれば5ナンバーサイズボディを基本としていたのが、自由にワイドボディ化できるようになります。

このマイナーチェンジでクラウン4ドアハードトップにもワイドボディが登場しますが、自然吸気の3リッターDOHCエンジン搭載モデルに専用サスペンションやスポーツタイヤなどを組み合わせたスポーティグレードでした。

ただし、この当時はまだデザインまでは変わらず、動力性能や内装もロイヤルサルーンの3リッター車と同じだったので、後のスポーツセダンと比べれば地味な存在で、9~10代目はその内容にふさわしい『ロイヤルツーリング』名になります。 

(代表スペックと中古車相場)
トヨタ MS135 クラウン アスリートL 1990年式
全長×全幅×全高(mm):4,860×1,755×1,410
ホイールベース(mm):2,730
車重(kg):1,580
エンジン:7M-GE 水冷直列6気筒DOHC24バルブ
排気量:2,954cc
最高出力:147kw(200馬力) / 5,600rpm
最大トルク:264.8N・m(27.0kgm) / 3,600rpm
乗車定員:5人
駆動方式:FR
ミッション:4AT
燃費(km/L):8.1(10モード燃費)
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)セミトレーリングアーム
中古車相場(各型全て):皆無

初のフルレギュラー化、ワゴンのエステートにも設定・11代目代S170系(1999-2007)

1999年9月にモデルチェンジした11代目で、初めて最初からクラウン アスリートを設定。

この代では4ドアハードトップボディからサッシュ(窓枠)のある4ドアセダンとなったものの、ビジネスユースの『クラウンセダン』とは一線を引いた個人向けの高級パーソナルセダンでした。

やや遅れて登場したステーションワゴン版クラウンエステートともども、最初からラインナップされたアスリートはそれまでの『せいぜいロイヤルサルーンのスポーティ版』程度に留まったクラウンのスポーツバージョンから脱却する豪快なラインナップを展開。

ディスチャージ(HID)ヘッドランプなど内外装をロイヤルサルーンと変えてスポーツセダンとして明確な違いを出した上に、最強モデルの『アスリートV』には当時の自主規制値一杯、280馬力を発揮する直列6気筒ターボエンジン1JZ-GTEが搭載されました。

こうしたハイパワー高級スポーツセダンは従来日産がシーマやセドリック / グロリアで得意としていましたが、クラウンとして初めてこれを真っ向から受けて立った形です。

なお、ディスチャージヘッドランプやボディカラーの塗り分け(サイドやリアのアンダー部分をブラックアウト)などは2001年8月マイナーチェンジ以降の後期型でロイヤルも同じになっていますが、アスリートのテールランプが3連丸型になるなど違いを出しています。

エンジンラインナップは最強の2.5リッター直6ターボ1JZ-GTEのほか、3リッター直6NAの2JZ-FSE(アスリートG)および、2.5リッター直6NAの1JZ-GE(アスリート / アスリートFour)の3種類。
ロイヤルには無い2.5リッターターボが設定されている代わり、ロイヤルにはある3リッター直6NAの4WD車はアスリートに設定されません。

2000年8月には2.5リッターNA / ターボのアスリートに、チルト&スライド電動ムーンルーフ、トップシェード付フロントウインドシールドガラス(アスリートVには標準装備)を装備した特別仕様車『プレミアムスポーツセレクション』が設定されています。

(代表スペックと中古車相場)
トヨタ JZS175 クラウン アスリートV 1999年式
全長×全幅×全高(mm):4,820×1,765×1,455
ホイールベース(mm):2,780
車重(kg):1,600
エンジン:1JZ-GTE 水冷直列6気筒DOHC24バルブ ICターボ
排気量:2,491cc
最高出力:206kw(280馬力) / 6,200rpm
最大トルク:377.6N・m(38.5kgm) / 2,400rpm
乗車定員:5人
駆動方式:FR
ミッション:4AT
燃費(km/L):9.2(10・15モード燃費)
サスペンション形式:(F・R)ダブルウィッシュボーン
中古車相場(各型全て):8万~194.8万円(ワゴンのエステートアスリートを含む)

直6からV6へ、さらにマイナーチェンジでハイパワー化・12代目S180系(2003-2008)

2003年12月、クラウンシリーズの更新によりアスリートは初のモデルチェンジを迎えます(ただしステーションワゴンのエステートは先代のまま2007年6月まで継続販売)。

通称『ゼロクラウン』と呼ばれる、エンジンや内外装のみならずプラットフォームやサスペンションも全てを一新した、ゼロからの再出発を宣言したクラウンで、アスリートも大幅な変更を受けました。

この代のアスリートは2004年8月に追加されるまで4WDが設定されなかったほかは、その当初ロイヤルとエンジンラインナップが全く同じ(3リッターと2.5リッターの新型V6エンジン)など、内外装を除けば違いが少なく、ややインパクトに欠けます。

特にエンジンのV6化でターボエンジンを失ったことはアスリートも存在意義に関わったこともあってか、2005年10月のマイナーチェンジでは3リッターV6NAに代わってレクサス GSと同じ、3.5リッターV6NAエンジン2GR-FSEを搭載。

ターボではないとはいえ、最高出力315馬力を誇る2GR-FSEは『トヨタ』ブランド最高級スポーツセダンにふさわしく、一気に面目を取り戻した形です。

なお、モデルチェンジ当初は3リッター車が6AT、2.5リッター車が5ATでしたが、マイナーチェンジで4WD以外は6ATに代わっています。

2006年4月にはトヨタ店の戦後創業60周年を記念し、HDDナビゲーションシステム(G-BOOK ALPHA専用DCM付)を搭載した特別仕様車『60thスペシャルエディション』がアスリートにも設定。

2007年4月には専用加飾ラジエーターグリル、専用木目調パネル(ダークブルー)を採用してスポーティ感を高めた特別仕様車『プレミアムエディション』も設定されています。

(代表スペックと中古車相場)
トヨタ GRS184 クラウン アスリートGパッケージ 2005年式
全長×全幅×全高(mm):4,840×1,780×1,470
ホイールベース(mm):2,850
車重(kg):1,640
エンジン:2GR-FSE 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
排気量:3,456cc
最高出力:232kw(315馬力) / 6,400rpm
最大トルク:377N・m(38.4kgm) / 4,800rpm
乗車定員:5人
駆動方式:FR
ミッション:6AT
燃費(km/L):10.0(10・15モード燃費)
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)マルチリンク
中古車相場(各型全て):18万~329万円(各型含む)

キープコンセプトの13代目S200系(2008-2012)

2008年2月に2度目のモデルチェンジを迎えたアスリートは、クラウン自体が先代からの超キープコンセプトデザインだったため、アスリートもエンジンを含め目立つ変更はバンパーとマフラーが一体化したり、4WDも6速AT化された程度。

代わりに安全性能や運転支援システムの充実を図り、2010年2月のマイナーチェンジでは2.5リッター車のスペックを抑えた代わりにレギュラーガソリン仕様となるとともに燃費を向上させるなど経済性、環境性能の向上に努めています。

この代は特別仕様車が多く、クラウン国内累計販売台数500万台突破記念(2009年4月)およびクラウン発売55周年記念(2010年12月)の『アニバーサリーエディション』、2.5リッター車に本革シートや電動ムーンルーフを装備した『レザーセレクション』が発売されました。

なお、この代で初登場となったクラウンハイブリッドは当初アスリートがベースでしたが、販売してみると法人需要がメインになったため、マイナーチェンジでロイヤルサルーンヘトベース車が変更になっています。

(代表スペックと中古車相場)
トヨタ GRS204 クラウン アスリートGパッケージ 2008年式
全長×全幅×全高(mm):4,870×1,795×1,470
ホイールベース(mm):2,850
車重(kg):1,660
エンジン:2GR-FSE 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
排気量:3,456cc
最高出力:232kw(315馬力) / 6,400rpm
最大トルク:377N・m(38.4kgm) / 4,800rpm
乗車定員:5人
駆動方式:FR
ミッション:6AT
燃費(km/L):10.0(10・15モード燃費)
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)マルチリンク
中古車相場(各型全て):48.1万~338万円(各型含む)

大胆なデザイン変更とパワーユニット更新が行われた14代目S210系(2012-2018)

この次の15代目で全シリーズがアスリート寄りの『クラウン』に統合されたため、最後のアスリートとなったのが2012年12月にモデルチェンジされた14代目です。

当初エンジンラインナップは先代と変わらず、3.5リッター車がパドルシフトつき8速ATに代わったくらいでしたが、デザインは思い切ったユーザー層の若返りを図ってフロントグリルが大型化。
特にアスリートでは王冠というより、バンパー下端まで稲妻が落ちたような切り欠きのある大型フロントグリルという、大胆なデザイン変更が行われ、ヘッドライトもLEDクリアランスランピを採用した補足鋭いものになりました。

結果的にこのデザイン変更は大成功で大型高級スポーツセダンとしてのイメージが定着、クラウンの販売比率でもアスリートが最大となり、かつての保守的で高年齢層向けの高級セダンというイメージを完全に払拭しています。

この代で話題となったピンク、空色、若草色という特異な限定ボディカラーも全てアスリートに設定され、ますますクラウンのイメージ転換に一役買い、ロイヤルやマジェスタは一部保守層ユーザーに応えるための地味なグレードとなりました。

2015年10月のマイナーチェンジでは、4ドア車向け純ガソリンエンジンとしては1971年に生産を終えた3代目以来実に44年ぶりとなる2リッター4気筒エンジンが8ATとの組み合わせで復活。

ツインスクロールターボとの組み合わせで十分な出力を発揮するダウンサイジングターボで、従来の2.5リッターV6+6ATは4WDに残るのみとなりました。

2016年8月にはトヨタ店創立70周年記念(J-FRONTIER)および翌2017年8月のリファイン版(J-FRONTIER Limited)として内外装の豪華化や一部装備の追加標準装備化した特別仕様車が発売されています。

(代表スペックと中古車相場)
トヨタ GRS214 クラウン アスリートG 2016年式
全長×全幅×全高(mm):4,895×1,800×1,450
ホイールベース(mm):2,850
車重(kg):1,650
エンジン:2GR-FSE 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
排気量:3,456cc
最高出力:232kw(315馬力) / 6,400rpm
最大トルク:377N・m(38.4kgm) / 4,800rpm
乗車定員:5人
駆動方式:FR
ミッション:8AT
燃費(km/L):9.6(JC08モード燃費)
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)マルチリンク
中古車相場(各型全て):159万~540万円(ハイブリッドアスリートなど各型含む)

各代の新装備

8代目

8代目で当初設定されていたアスリートは4ドアハードトップの2リッタースーパーチャージャー車にロイヤルサルーン並の内外装とした特別仕様でしたが、ワイドボディ化時にカタログモデル化したアスリートLでは専用装備も施されました。

専用のハーダーサスペンション(強化サス)やポテンザタイヤのほか、電子制御サスペンションTEMSに連動するデュアルモード電子制御車速感応パワステ、新PPSも専用装備として採用されています。

11代目

モデルチェンジ時からアスリートが初設定された11代目では、クラウン初のDOHCターボ(6代目S110系や7代目S120系はSOHCターボだった)をアスリートVに採用。

さらに先代のsポーティグレード『ロイヤルツーリング』に引き続き、アスリートとしては初めてディスチャージヘッドランプが採用されたほか、マイナーチェンジでは17インチアルミホイールと45扁平タイヤがオプションとはいえ初設定されました。

12代目

2代目クラウンにM型が搭載されて以来搭載されてきた直列6気筒エンジンが廃止され、この代から代わってV6エンジン(2.5リッター4GR-FSE / 3リッター3GR-FSE)を搭載。

後に3リッター車はアスリートのみレクサス GS350と同じ315馬力の3.5リッター2GR-FSEに換装され、スポーツセダンらしい動力性能を取り戻しました。

ミッションは3リッター車のみ新型の6速ATが採用されましたが、2005年10月のマイナーチェンジで2.5リッター車も含め2WD(FR)車は全車6速ATとなり、5速ATは2.5リッター4WD車のみになります。
その4WD車もアスリートには2004年8月に追加されるまで一時ラインナップされていませんでしたが、追加時には通常のフルタイム4WDではなく、新開発の電子制御駆動配分を行い、VSC(横滑り防止装置)とも協調制御するi-Fourが採用されました。

さらに、搭載したカメラで路上の車線を認識し、電動パワステを制御して車線維持支援を行うレーンキーピングアシストが一部グレードにオプション設定されています。

13代目

12代目から見た目は超キープコンセプトですが内容は充実し、トラクションコントロールやABSなどを統合制御して走行安定性を高め、予防安全性能を大きく向上させたVDIM(Vehicle Dynamics Integrated Management)を全車に採用しました。

さらに、ミリ波レーダー式のプリクラッシュセーフティシステムにはドライバーの目の開閉状態検知機能を備えたドライバーモニターを世界で初めて設定し、カーナビゲーション連動運転支援システムなど、安全性向上が目立つモデルチェンジとなっています。

14代目

見た目の派手さが目立つ14代目ですが、初採用となる各種装備も目立ちます。

タッチパネルへ各種操作スイッチを集約して操作をシンプル化した『トヨタマルチオペレーションタッチ』や、3.5リッター車に搭載してよりきめ細かい制御を可能にした8速AT(後に2リッターターボ車にも設定)などはモデルチェンジからの代表的な新装備です。

さらにパワーユニットは、先代ではロイヤルからもアスリートからも独立していたハイブリッドを、両グレードの1モデルとして投入。

ハイブリッドアスリートはカムリ用2.5リッター直4ガソリンエンジン+ハイブリッドシステムを、エンジン横置きFF用から同縦置きFR用に変更して新開発されたもので、低燃費と3リッターガソリンエンジン並の動力性能を両立させました。

通常のガソリンエンジンも、2WD(FR)の2.5リッターエンジン車は2015年10月のマイナーチェンジで2リッター直列4気筒ツインスクロールターボエンジン8AR-FTSに換装され、動力性能と燃費性能双方を向上させています。

ほかに安全装備として、衝突被害軽減のため最大30km/hほど減速するプリクラッシュセーフティシステムや障害物検知用のインテリジェントクリアランスソナー、誤操作による急発進抑制用ドライブスタートコントロールなどをトヨタ車として初装備。

それら安全装備は2016年8月の一部改良で衝突回避支援パッケージ『Toyota Safety Sense P』に発展した上で全車標準装備となりました。

さらに衝突時歩行者保護装備として、衝突を検知すると浮き上がって歩行者頭部を受け止める、『ポップアップフード』がハイブリッド車に標準装備されるなど、トヨタ最高級スポーツセダンとして安全装備の充実が図られています。

また、路上側の設備や対応車両がまだ少ないためまだまだ使用できる場面は限られるものの、路車間通信や車車間通信により安全運転支援情報を受け取れる『ITS Connect』が史上初の量産車用先進装備としてオプション設定されました。

派生型

クラウン アスリート(7代目特別仕様車)

クラウンに初めて『アスリート』の名が登場した7代目の特別仕様車で、スポーティなサスペンションを装備する『Sパッケージ』にフロントスポイラーを追加したものでした。

クラウン アスリート(8代目特別仕様車)

アスリートL以前に、7代目同様の特別仕様車として設定されていたのが8代目アスリートで、5ナンバーサイズのナローボディに2リッターSOHCスーパーチャージャーエンジンを搭載していました。

クラウンエステート アスリート(11代目ステーションワゴン版)

11代目クラウンデビュー当時はステーションワゴンブームがまだ続いており、クラウン ステーションワゴンも12年ぶりにフルモデルチェンジを受けるとともに、スポーツワゴン的なモデルとしてアスリートも設定されました。

セダンのアスリート同様に2.5リッター直6ターボエンジンが搭載され、ライバルの日産 ステージアに対抗できる豪快な動力性能を持つ大型スポーツワゴンです。

セダンが12代目にモデルチェンジして以降も霊柩車や遺体搬送用寝台車としての需要が多かったため継続生産されましたが、2リッターNAエンジンや排ガス規制対応しなかった2.5リッターターボは廃止されています。

ただし、それ以前からステーションワゴンブームの終焉でグレードは整理されており、2001年8月のマイナーチェンジでアスリートのみになっていました。

クラウン アスリートVX(11代目限定車)

当時としては強力な動力性能を持つ大型高級スポーツセダンとして話題を呼んだ11代目のアスリートへ、ヤマハが2.5リッターターボ1JZ-GTEをチューンして300馬力へパワーアップ。
電子制御サスペンション『X-REAS』や18インチアルミホイールを標準装備し、300台限定で生産されたレアなチューニングクラウン アスリートです。

クラウン アスリート +Mスーパーチャージャー(13代目コンプリートカー)

13代目の3.5リッター車にトヨタモデリスタインターナショナルが独自のカスタマイズを加え、最高出力360馬力、最大トルク50.8kgmへチューンしたモンスターマシン。

大幅なパワーアップに伴い専用スポーツサスペンションも装着されていますが、ブレーキのカウタマイズまでは行われていません。

クラウン ハイブリッド アスリート(14代目)

13代目では『クラウン ハイブリッド』としてロイヤルからもアスリートからも独立していたハイブリッドが、14代目ではそれぞれハイブリッドのロイヤル、アスリートを擁することで両グレードに組み込まれました。

基本的に2.5リッターガソリンエンジン+ハイブリッドシステムを組み込んだFRまたは4WD車というのはロイヤルでもアスリートでも同一で、内外装やアスリート独自の特別仕様車(ピンククラウンなど)を除けば、違いはありません。

15代目で一旦消滅するアスリート、再登場はあるか?!

東京モーターショー2017に出展後、2018年6月26日に正式発表を迎えた15代目クラウンに『アスリート』は設定されていません。

15代目自体がクラウン アスリートのモデルチェンジ版と言えて、そこにロイヤルサルーン的な要素を加えたグレードが設定されるのみとなり、14代目で既にアスリートが主力となっていたことから、アスリートとロイヤルを分ける意義が無いと判断されたようです。

従ってアスリートが消滅したというよりは、クラウン アスリートこそがクラウンとして残ったと解釈した方が良いのですが、いずれにせよアスリートは14代目をもって姿を消しました。

ただし、トヨタにとってはそれで良くても、ユーザーにとってアスリートの名が消えても良いかどうかはまた別問題で、かつての『アスリートVX』や『アスリート +Mスーパーチャージャー』のような過激なモデルが登場した時、イメージリーダー的存在として『アスリート』の名が復活する可能性は必ずしもゼロではありません。

また、いずれ再びクラウンのユーザー層若返りが求められた時、そのためのグレードが新たに設定されるならば、やはりそこには『アスリート』の名がふさわしいと言えます。

そう、クラウン アスリートは消滅したわけではなく、ただ役割を終えて一旦眠りについただけであり、クラウンが存続の危機に立った時、その名はきっと甦ることでしょう。

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