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『アルト47万円』から始まり今でも安い!最後のボンネットバンもあると!スズキ アルト

アルト 査定

激安ボンネットバンとして一世を風靡した初代アルト発売から39年。当時のライバルは次々と姿を消し、最後に残ったダイハツ ミラさえも2018年3月で販売終了してしまいましたが、今でもアルトは昔ながらの激安ボンネットバンから豪華仕様まで取り揃えて健在です!

目次

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各代の概要と時代背景

『ボンネットバン』で息を吹き返した軽自動車

1954年10月、それまで2サイクルは240cc、4サイクルは360ccまでとされていたエンジンの排気量上限が4サイクル / 2サイクルエンジンともに360ccに引き上げられ、ようやく実用的な動力性能を与えられるようになる、軽自動車規格の改訂が行われました。

これにより、軽自動車(軽4輪車)に4人乗車や荷物のフル積載時でも十分な動力性能を与えることが可能になり、スズキ スズライトSF(1955年)やスバル360(1958年)など、本格的な4輪軽自動車が登場するようになり、1960年代には激しい販売競争が行われます。

それは軽自動車よりもっと大きく車内が広く、動力性能にもゆとりがあった、当初800ccクラス、後に1,000cc以上のクラスからなる安価な大衆車が登場してからも変わりません。

その理由は、16歳以上から取得可能で軽2輪と同じ扱いの軽自動車免許の存在、ナンバー取得時だけで良かった自動車重量税、排ガス規制の緩かった保安基準など、軽自動車に対する規制が登録車より緩かったことが原因です。

しかし、1960年代末からそのような規制が軽自動車でも厳しくなり、コストを反映された車体価格や維持費が高価になったり、利益の減少した自動車メーカーも軽自動車から撤退したりと、軽自動車の存在意義が問われるようになりました。

しかし、『ルールが厳しくなったのなら、そのルールを最大限活用すれば、むしろライバルより有利な車作りができる』と考えたのがスズキで、まだ規制の緩い部分を可能な限り活かそうと、『軽乗用車の形をした、自動車物品税の安い軽商用車』を作ることにしたのです。

当時の軽商用車は、既に運転席を最大限前に配置し、荷室や荷台スペースを最大限にとったキャブオーバー型が主流になっており、草創期に存在したボンネットバンやボンネットトラックは無くなっていました。

しかし、軽乗用車も実際にはほとんど誰も乗らない後席スペースは最低限でガマンしてもらえば荷室スペースを拡大して軽商用車として登録できますし、それなら税金も安くてユーザーへのアピールもバツグンというわけです。

さらに装備面でも、開発段階では助手席側のサイドミラーすら省略しようとするほど簡素化を徹底し、可能な限り安価で、それでいて実用性も備えた軽自動車を実現しようとしました。

こうして1979年5月、軽乗用車フロンテ(5代目)の軽商用車(ボンネットバン)版として登場したのが初代アルトで、47万円という驚きの価格とともに、一大センセーションを巻き起こしました。

アルトが飛ぶように売れたことでライバル他社もボンネットバンに参入、競争激化で内外装やエンジンは豪華になって、ついに税金の安い軽商用車でありながらパワフルなDOHCターボも登場。

1989年4月の消費税導入(当時は3%)と共に自動車物品税が廃止され、軽商用車の税制優遇が減ってしまった時期にそれらは一斉に軽乗用車へと転換していきます。

特に1993年に登場したスズキ ワゴンR(初代)以降は車内スペースの広さを、1990年代なかば以降の景気低迷期に軽乗用車をファーストカーとして後席を使う人が増えると、後席の快適性をアピールしていくようになり、ボンネットバンは減っていきました。

2018年6月現在、軽商用車登録のボンネットバンを販売しているメーカーはほとんどありませんが、その復活と爆発的ヒットを担ったスズキ アルトには、今でも軽商用車登録のアルトバンがラインナップされています。

総合概要:初代以来変わらぬ軽ベーシック、アルト

『アルト47万円』という衝撃の低価格キャッチコピーと共に登場したスズキ アルト。
その当初はフロンテの軽商用車版という位置づけでしたが、大ヒットによりフロンテの存在を霞ませるほどで、次第にアルトが主力車種として装備やグレードを充実していき、DOHCターボを搭載した最強派生モデルも、アルトをベースとしたアルトワークスでした。

そのため、3代目アルトの途中で自動車物品税が廃止されて軽商用車(ボンネットバン)のメリットが薄れ、今後の主力車種が軽乗用車になると決まった時に、フロンテの名を消滅させて軽乗用車もアルトとなったのです。

なお、こうした動きは最大のライバルとなっていたダイハツも同じで、『ミラ』が残って『クオーレ』を残しています(その他のメーカーは軽商用車版と軽乗用車版で車名を変えていなかった)。

以降、1990年1月の660cc化、1998年10月の衝突安全基準改正と2度の軽自動車規格改訂を経た間も、アルトは代を重ねつつ販売が続けられました。

1993年に初代スズキ ワゴンRが発売されて軽ハイトワゴンへ、2003年に初代ダイハツ タントが発売されて軽スーパーハイトワゴンへと、軽自動車の主流が頭上スペース拡大に移っていく中でも、アルトはスズキ軽自動車のもっともベーシックなモデルであり続けたのです。

現在のスズキは『軽自動車No.1メーカー』から『国際的なコンパクトカーメーカー』への脱却を図っていますが、日本の軽自動車、そして国際的にも新興国向け低価格車のベースとして、アルトは今でもスズキの非常に重要な車種となっています。

衝撃の『アルト47万円』 初代 SS30V/40V(1979-1984)

1979年5月、フロンテ(5代目)を徹底的に簡素化して、後席も折りたたみ式のごく小さなものだけとして荷室スペースを稼ぎ、税制面で有利とした軽商用車として初代アルト発売。

登録こそ4ナンバー(商用貨物)なものの、外観は4ドアだったフロンテを2ドア化しただけで、マーケットリサーチにより軽乗用車の乗車人数が後席があっても実質1~2人でしか無いことから、後席は緊急用として割り切れば十分軽乗用車として使えました。

なお、この時代はまだ利便性を高めるリアハッチが無ければいけないというわけではなく、リアガラスが開閉するだけのガラスハッチでも十分だったことからハッチバック車では無いという点でも、簡素化されています。

外装のデザインやサスペンションを除けばほかにも簡素化された点は多数あり、エンジンは1981年にフロンテ同様の4サイクルエンジンF5Aが搭載されるまでは2サイクルのT5Bのみ、しかも軽商用車は排ガス規制が緩かったため簡素なタイプ。

内装のダッシュボードは一体成形の素っ気ないものでフロアマットはゴム引き、後席の背もたれ背板はベニア板で、ウィンドウウォッシャー用モーターさえ省略して手押しポンプ、ドアの鍵穴は運転席側のみ。

保安基準を満たすための最低限の装備を除けば快適装備といえるのは、水冷式エンジンゆえに排熱を使えたヒーターくらいなものです。

このような簡素化路線は過去にトヨタが初代パブリカ(1961年発売)で試みてユーザーにはまったく受けず、その教訓から国産車は高級車から軽自動車まで見栄えと装備の豪華さを競う『デラックス路線』が当たり前でした。

当然初代アルトも初代アルトの轍を踏んでもおかしくなかったのですが、競合車種よりはるかに安い『47万円』という激安価格と、さらに自動車物品税が不要で乗り出し価格はさらに安いという現実が、全てを吹き飛ばしたのです。

ひたすらチープ、でも安いしちゃんと走るアルトはスズキとして空前の大ヒット作となり、ライバルメーカーも追随して同種のモデルを販売しましたが、ついにどこも『47万円アルト』より安い価格をつけることはできませんでした。

軽乗用車版として従来からのデラックス路線を踏襲したフロンテも発売されていましたが、大衆はより安いアルトの装備充実を望んだ結果、トルコン式2速ATや4サイクルエンジン、4WD車が登場し、エアコンを標準装備した特別仕様車まで登場します。

最初は『とにかく安く買えるアルト』でしたが、より快適性や走行性能を求めるユーザーはフロンテではなく『もっといいアルト』を望んでいきました。

なお、当時オイルショックの影響で慣れないコンパクトカー開発のため、パートナー探しを兼ねた各国のコンパクトカー研究を進めていたアメリカのGM(ゼネラル・モーターズ)は、分解調査した初代アルトを作ったスズキの小型車開発力に驚愕。スズキにGMから提携の申込みを受けたのは、それから間もなくのことでした。

(代表スペックと中古車相場)
スズキ SS30V アルト1979年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×1,335
ホイールベース(mm):2,150
車重(kg):545
エンジン:T5B 水冷直列3気筒2ストローク
排気量:539cc
最高出力:21kw(28馬力) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:52N・m(5.3kgm) / 3,000rpm(※同上)
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FF
ミッション:4MT
燃費(km/L):-
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場(各型全て):皆無

ターボやツインカムも登場! 2代目CA / CC70系(1984-1988)

1984年9月に2代目へとモデルチェンジした2代目アルトでは、ガラスハッチから本格的なテールゲート(リアハッチ)を設け、当初は3ドアのみでしたが1985年10月に5ドアハッチバック車も設定。

初代と異なり最初から豪華装備やラインナップ充実が図られ、同時にモデルチェンジしたフロンテ(6代目)との違いは、もはや後席の違いによる快適性と荷室スペースくらいになっていました。

むしろラインナップ面では、スカートを履いたりした女性が足を揃えて乗降できる『回転ドライバーズシート』を装備した特別仕様車や、DOHC12バルブ化&EPI化(電子制御燃料噴射)した『ツインカム』くらいしかフロンテには設定されません。

CMに起用された小林 麻美の名を関した豪華特別仕様車『麻美スペシャル』や、ベンチシートと2速コラムシフトATを装備した『レジーナ』、回転ドライバーズシート装備の女性向け特別仕様車『ジュナ』といった特別仕様車。

そしてSOHCインタークーラーターボモデル(アルトターボ)や、DOHC12バルブ&EPIモデル(アルトツインカム)など動力性能強化版などアルトはフロンテ以上の強化版が次々と販売され、初代に続くヒットを得ました。

その極めつけが1987年2月に発売されたDOHCターボ搭載のスポーツモデル(アルトワークス)の登場で、フロンテではなく大人気車種のアルトを中心に、スズキは軽ボンネットバン市場での大シェアを獲得したのです。

なお、この代では末期にミラの同種車に対抗した箱型キャビン(ボンネットなどフロントはそのまま)の貨物車、『ウォークスルーバン』を発売しています。

(代表スペックと中古車相場)
スズキ CA71V アルト Cタイプ 1984年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×1,400
ホイールベース(mm):2,175
車重(kg):550
エンジン:F5A 水冷直列3気筒SOHC6バルブ
排気量:543cc
最高出力:23kw(31馬力) / 5,500rpm(※グロス値)
最大トルク:43N・m(4.4kgm) / 3,500rpm(※同上)
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FF
ミッション:4MT
燃費(km/L):-
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)リーフリジッド
中古車相場(各型全て):52万円

550ccと660cc、2つの時代を生きた3代目CL / CM / CN / CR / CP / CS10および20系(1988-1994)

1988年9月にモデルチェンジした3代目は、当時の軽自動車最長となるホイールベースや、先代まではリアガラス部分が前に傾斜していたテールゲートを垂直に近く立ち上げ、ルーフをボディ後端まで延長した思い切ったデザインを採用。

デザインより機能重視でしたが、かえってその割り切りは好感を呼び、実際荷室拡大で使い勝手も良くなった上に、5ドア車では後部ドア後方にルーフ上面にまで達する広い窓を設けた6ライトスタイルで開放感も高くなっていました。

さらに先代のF5Aエンジンに対してショートストローク化、およびSOHC4バルブ仕様も設定したF5Bエンジンに変更されています(F5Aはターボ車として残る)。

1989年4月の消費税導入&物品税廃止で軽商用車の税制メリットが薄れると、フロンテ(7代目)をわずか5ヶ月でフロンテを廃止し、軽乗用車版にもネームバリューが大きいアルトの名を与えて、新たに主力となる軽乗用車の拡販を図りました。

さらに1990年1月に軽自動車規格が改訂、660ccエンジン搭載と全長延長が可能になると、1990年3月のマイナーチェンジで前後バンパーを大型化するなど若干デザイン変更、660ccエンジン(F6A)を搭載するようになります。

660cc化でSOHC2バルブ仕様など実用エンジンの実用フィーリングはそう変わりませんでしたが、4バルブ仕様やターボ車の性能向上は目覚ましく、わずか110ccの拡大とはいえ動力性能面では飛躍的な向上を果たしました。

この代ではスライドドア仕様の『スライドスリム』や、前席より後ろを背の高い箱型ボディとしたフルゴネットスタイルの『ハッスル』など意欲的な派生車を設定し、多彩なボディラインナップを誇っています。

(代表スペックと中古車相場)
スズキ CL11V アルト Pe 1988年式
全長×全幅×全高(mm):3,195×1,395×1,380
ホイールベース(mm):2,335
車重(kg):550
エンジン:F5B 水冷直列3気筒SOHC6バルブ
排気量:547cc
最高出力:25kw(34馬力) / 6,500rpm
最大トルク:42N・m(4.3kgm) / 4,000rpm
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FF
ミッション:4MT
燃費(km/L):-
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)I.T.L
中古車相場(各型全て):5~97万円(アルトハッスル、アルトスライドスリム、アルトウォークスルーバンなど含む)

ワゴンR登場で堅実なベーシックへの道へ 4代目HA / HB / HC / HD10および20系(1994-1998)

1944年11月にモデルチェンジした4代目では、それまで存在した『スライドスリム』『ハッスル』といった多彩なボディタイプや、先代途中まであったベンチシート&コラムシフト仕様の『レジーナ』もラインナップされなくなりました。

それによりベーシック版の『アルト』とスポーツ版『アルトワークス』へとシンプル化され、多様化するユーザーからの要望に応える役割は1993年登場のワゴンRに託されるようになります。

従ってアルト自体は3代目からキープコンセプトのデザインもコストダウンのためやや簡素化された保守的なモデルとなり、特に1997年4月マイナーチェンジ以前のモデルは、47万円アルトに回帰したような質素さでした。

それでも安価なアルトへの需要は根強く、パワーウィンドウやパワーステアリング、ステレオなど装備面や内装のグレードアップをお得な価格で充実させた特別仕様車、『エポ』シリーズや『ウィズ』『ビーム』などが好評を得ています。
(代表スペックと中古車相場)

スズキ HA11S アルト Lg 1994年式
全長×全幅×全高(mm):3,295×1,395×1,400
ホイールベース(mm):2,335
車重(kg):640
エンジン:F6A 水冷直列3気筒SOHC12バルブ
排気量:657cc
最高出力:38kw(52馬力) / 7,000rpm
最大トルク:56N・m(5.7kgm) / 4,500rpm
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:5MT
燃費(km/L):21.5km/L(10・15モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)I.T.L
中古車相場(各型全て):4~18万円

新規格でもアルト!3ドアはこの代で最後 5代目HA12/22/23系(1998-2005)

1998年10月に軽自動車は2018年6月現在でも続いている『新規格』へ改訂、衝突安全性能向上を目的としてボディサイズ拡大が認められましたが、エンジンは660ccのまま。

そのため各社ともターボ化による動力性能アップや、緻密な制御による効率アップを目的としたDOHC4バルブ化、可変バルブ機構化したエンジンをハード面で統一してソフトウェアによる車の性格に応じたコンピュータ制御を行う方向に変わっていきます。

そのような中で企画変更と同時に発売された5代目アルトも同様の方向性でしたが、スズキは規制が効力を発揮するギリギリまで古いメカニズムや構造を採用することが多く、5代目アルトも最初から全てが最新とはなりませんでした。

例えばバンの廉価グレードではエンジンに電子制御燃料噴射ではなくキャブレターを1999年10月まで残しており、車重が他メーカーより格段に軽かったものの、5代目末期ではエンジン換装や衝突安全ボディー化で40kgほど増加していたという面もあります。

また、この代でも『アルトワークス』は設定されたものの短命に終わり、廉価グレード『アルトワークスie』用SOHCターボ搭載の『エポターボ』や、アルトワークスのヘッドライトを流用したクラシックモデル『アルトC』を発売するなどしていました。

それでも、新規格化で大きくなったのに合わせて内装が全グレードとも鉄板むき出し部分の無いフルトリム化され、エアコン装着車にはエアコンフィルターが標準装備されるなど、『軽自動車から自動車へ』の脱皮が図られています。

また、1999年5月には希薄燃焼エンジンとCVT(無段変速機)の統合制御で高効率化を図り、10・15モード燃費26.5km/Lを叩き出す低燃費仕様『Scリーンバーン』を発売。

リーンバーン仕様はさらに5MTとの組み合わせで同10月には10・15モード燃費30.0km/Lの大台に達し、ハイブリッド車に近い低燃費を実現しています。

なお、この代まで3ドアハッチバック車も販売されていましたが、2004年6月に乗用モデルは5ドアのみとなり、2005年1月まで生産されていた商用のアルトバンも次期型では5ドア化されたので、この代が最後の3ドアアルトになりました。

また、2000年12月のマイナーチェンジで全車エンジンがDOHC4バルブ(K6A)化され、SOHC2バルブ(F6A)は消滅しています。

(代表スペックと中古車相場)
スズキ HA23V アルト バン Vl 2004年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,450
ホイールベース(mm):2,360
車重(kg):630
エンジン:K6A 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:658cc
最高出力:40kw(54馬力) / 6,500rpm
最大トルク:63N・m(6.4kgm) / 3,500rpm
乗車定員:2(4)人
駆動方式:FF
ミッション:5MT
燃費(km/L):23.0km/L(10・15モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)I.T.L
中古車相場(各型全て):0.1~149万円(アルトC、アルトC2含む)

ファンシー路線でデザインがカワイイ 6代目HA24系(2004-2009)

2004年9月にモデルチェンジされた6代目アルトでは、3ドア車のみならず税制優遇時代の産物だった2シーター車、それにエアコン・パワステレス車など需要の少なくなっていた安価なモデルを作り分けず廃止することで、全体的なコストダウンを図ります。

エンジンも先代後半で統一されたDOHC4バルブエンジンK6Aのままですが、VVT(可変バルブ機構)やリーンバーン(希薄燃焼)エンジン、ターボエンジンなどは設定されず、CVTも設定されないなどメカニズム面での作り分けが少なく、シンプルなラインナップになりました。

ライバルメーカーの中には4ナンバーのボンネットボンを廃止するところも出てくる中、アルトバンは継続されますが、5ドアボディとなってボディの作り分けもやめています。

さらに液晶付きフルオートエアコン、室内バックドアオープナーが廃止され、ABSが『X』のセットオプション車(後に標準装備化)を除きオプションとなるなど装備簡素化が進みました。

そのような『白物家電化』が進む一方、バックドアハンドルや運転席 / 助手席SRSエアバッグは標準装備されるなど、目に見える便利装備や安全装備が残されています。

デザインは先代までと大きく変わり、縦長のヘッドライトや大きく盛り上がったホイールアーチによって、実用車というよりファンシールックに変貌。

地味なベーシックモデルからパーソナルモビリティへのデザイン模索が、この代から始まっており、この代ではボディカラーもベーシックカーというより、派生車のアルトラパンのように華やかで明るいものが設定されました。

特別仕様車のカタログモデル化を除けばグレード追加なども少なく、大胆なデザイン変更の一方で変化の少ないのが6代目です。

(代表スペックと中古車相場)
スズキ HA24S アルト X 2004年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,500
ホイールベース(mm):2,360
車重(kg):760
エンジン:K6A 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:658cc
最高出力:40kw(54馬力) / 6,500rpm
最大トルク:61N・m(6.2kgm) / 4,000rpm
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:4AT
燃費(km/L):21.5km/L(10・15モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)I.T.L
中古車相場(各型全て):0.1~49.9万円

スズキ維持の低燃費モデル『アルトエコ』もあった 7代目HA25/35系(2009-2014)

2009年12月にフルモデルチェンジされた7代目では、円を組み合わせたような大胆なデザインだった先代から再び大きく変化し、全体的に丸みを帯びて歩行者衝突時保護ののためボンネット位置が上がったワンモーションフォルムで、雨粒のようなヘッドランプが特徴。

ボディサイドのラインはスピード感が与えられ、ファンショー路線からちょっとスポーティ路線へと変更されました。

エンジンも緻密な制御で動力性能と環境性能の両立を可能にするVVTが再搭載され、上級グレードへのジャトコ製副変速機付きCVT搭載や、従来型のステップATも3ATを廃止して4AT化、さらにエンジンの吸気効率改善と軽量化により効率化と燃費向上を図ります。

2011年11月には、新型エンジンR06Aを搭載、9km/h以下で作動する停車前アイドリングストップを採用し、テールランプやハイマウントストップランプをLED化、燃料ポンプも省電力化し、さらなる軽量化エンジンの負担を減らした『アルトエコ』(HA35S)が登場。

バンパー形状を変えて空力を改善、燃料タンク容量を30Lから20Lに軽量化してまでカタログ燃費を向上させようという努力が実り、JC08モード燃費は33.0km/L、後に35.0km/Lと向上させ、ライバルのダイハツ ミライースに対抗しました。

なお、実燃費にも優れてカタログ燃費との乖離が少なく、実燃費ではハイブリッド車すら上回る数値を叩き出して話題になっています。

(代表スペックと中古車相場)
スズキ HA25S アルト X 2009年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,535
ホイールベース(mm):2,400
車重(kg):760
エンジン:K6A 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:658cc
最高出力:40kw(54馬力) / 6,500rpm
最大トルク:63N・m(6.4kgm) / 3,500rpm
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:CVT
燃費(km/L):22.6km/L(JC08モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)I.T.L
中古車相場(各型全て):5.9~89.8万円(アルトエコ含む)

初代への原点回帰!アルトワークスも帰ってきた 8代目HA36系(2014-)

2014年8月にモデルチェンジした8代目アルトは、6代目以降模索していたデザインをさらに大胆に変更して話題になりました。

ボディ各部パーツはバンパーも含めて余計な装飾を一切廃し、いかつく吊り上がったヘッドランプも含めフロントマスクは垂直に切り立ち、テールゲートは傾けたリアガラスが一段飛び出した水中メガネスタイル。

テールランプをバンパーに移し、テールゲート開口部を拡大すると共にデザインのシンプル化を図って、大きくコストダウンしつつ実用性を向上させました。

内装も簡素どころではなくひたすらシンプル、アルトバンの後席など簡易型の小さな折りたたみ式シートが取付金具やボルトもむき出しで搭載され、チープというより潔さを感じさせる作りです。

これは一見新しいコンセプトのように見えて、初代アルトの再来の狙ったシンプルイズ・ベスト路線でしたが、驚く点はそれだけではありません。

新開発プラットフォームを使って完全再設計されたボディは軽量化を徹底的に追求し、エンジンルーム内側には鉄板ではなく発泡スチロールが見えるなど、強度に問題が無い部分は徹底的に簡素化して、先代より何と100kg以上の軽量化を実現。

ミッションは一部に5速MTを残してATは全てCVT化すると思いきや、5速MTの操作を自動化した、シーケンシャルマニュアルモード付きの5速AGS(オートギアシフト)を設定しています。

さらに走行に関する部分の抵抗を極限化した結果、燃費モデルでは無い普通のモデルでアッサリと30km/L代後半の低燃費と、軽快かつ抵抗を感じない軽やかな走りを実現しました。

おまけにワゴンRなど高価なモデルと違ってS-エネチャージなどのコストがかかるエンジン負荷低減策、モーターアシスト能力などを一切使わないため非常に安価(最低価格のバンVPで69万6,000円から)であり、その面からも初代アルトの再来です。

もちろん、『現代の初代アルト』は豪華仕様も最初から準備してあり、装備が充実してレーダーブレーキサポートも装備した最高額車(X 4WD)で122万9,040円と、快適性や究極の低燃費を求めるユーザーにも応えます。

この羽根のように軽く抵抗を感じないボディでスポーツモデルを作ればさぞかし…というユーザーの期待に応え、2015年3月には5代目以来となるターボ車、『ターボRS』を発売。

ターボRSは5速AGSのみの設定でしたが、さらなる市場からの要求に応え、5代目以来となる『アルトワークス』を2015年12月に復活、発売しました。

このように異例と驚きづくめの8代目でしたが、さらに凄かったのはカタログ燃費計測を国土交通省の指定通りに行っていなかった問題が発覚した時です。

改めて指定通りの計測を行った際、通常ならばカタログより悪化した燃費が出るところ、従来のカタログ燃費最高37.0km/Lを上回る38.3km/Lを叩き出してしまいます。

これでスズキを批判しようと待ち構えていた人々には痛快な肩透かしを食わせ、燃費偽装問題で揺れる自動車業界や車好きにとっても明るいニュースとなりました。

(代表スペックと中古車相場)
スズキ HA36S アルト X 2018年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,500
ホイールベース(mm):2,460
車重(kg):650
エンジン:R06A 水冷直列3気筒DOHC12バルブ
排気量:658cc
最高出力:38kw(52馬力) / 6,500rpm
最大トルク:63N・m(6.4kgm) / 4,000rpm
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:CVT
燃費(km/L):37.0km/L(JC08モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場(各型全て):39.8~133.8万円(アルトターボRS含む)

各代の新装備

新装備が無かったから安くできた初代

初代アルトは徹底したコスト低減策のため、新装備を搭載するよりも旧弊ながら安価、走行には問題無いというメカニズムの集合体であり、むしろ『新装備の無いのが新しい』くらいでした。

それでも市場でアルトの人気が爆発すると、1982年10月のマイナーチェンジで追加設定されたGタイプのように、メーカーオプションでデジタルメーターを装備できるグレードも現れます。
まあ、1983年10月には初の4WD車(パートタイム4WD)が登場しました。

女性仕様車とパワフルエンジンが新登場の2代目

単なる低コストモデルというだけでなく、スズキの主力モデルとなった2代目では新装備も積極的に投入し、近代的な自動車らしくなっていきます。

フロントディスクブレーキや、車外に降りなくてもオートフリーハブによりプッシュボタン1つで後輪へも駆動伝達を始められるパートタイム4WDシステムは、この時アルトとして初採用。

内装は、スカートを履いた女性でも足を揃えたままで服をシートにこする事無く体の向きを変えられる『回転ドライバーズシート』を、女性仕様車『アルトジュナ』に採用したほか、ベンコラ(ベンチシート&コラムシフト)の特別仕様車『アルトレジーナ』も発売されました。

エンジンも、登録車では1979年から採用の始まっていたターボエンジンが1985年9月に『アルトターボ』で初搭載され、ライバルの中では三菱 ミニカやダイハツ ミラより遅かったものの、軽自動車初の電子制御燃料噴射・インタークーラーターボです。

さらに1986年7月のマイナーチェンジでは、1967年11月に販売終了したホンダ T360以来18年8ヶ月ぶり、そして1気筒あたり4バルブとしては軽自動車史上初のDOHCエンジンを搭載した『アルトツインカム12RS』を発売。

そうなれば、登録車で既に実現していたようにDOHCターボの実現を望まれるのは当然のことで、1987年2月に軽自動車史上初のDOHCターボエンジン搭載車『アルトワークス』が発売されました。

このアルトワークス用F5A DOHCインタークーラーターボエンジンは70馬力以上の発揮が可能だったものの、運輸省(現・国交省)の指導で64馬力へ抑えられ、これが2018年7月現在も続く『軽自動車64馬力自主規制』の元になっています。

エンジンの550ccから660cc化がメインの3代目

3代目はエンジンラインナップが2度に渡り一新され、モデルチェンジ時には従来のF5Aよりビッグボア / ショートストローク化され、SOHC4バルブ仕様もあるF5Bエンジンを搭載。

1990年1月の軽自動車規格改正を受けた同3月のマイナーチェンジでは、F5Bをロングストローク化して550ccから660ccに排気量アップしたF6Aに変更されました。

また、このマイナーチェンジでは運転席SRSエアバッグやABSも初搭載され、安全性が向上しています。

堅実な4代目

ワゴンRが1993年に登場、爆発的ヒット作となったためスズキ軽自動車の主力を譲った4代目では、目立つ新装備は少なくやや地味な印象。

電動リモコンドアミラーやパワードアロック、キーレスエントリーなど利便性を高める装備の追加に留まっています。

電子制御スロットルやCVTが初登場の5代目

新規格化初のアルトとなった5代目では、上級モデルや低燃費モデルに、アルトワークスでターボ版が搭載済みだった新型のオールアルミDOHC4バルブエンジンK6AのNA(自然吸気)版、あるいはNAリーンバーン&電子制御スロットル版が初搭載。

リーンバーン仕様はCVTと組み合わせられて効率をアップし、29.0km/L(10・15モード燃費)の低燃費を実現、さらに2000年12月のマイナーチェンジで、それまで大多数のモデルに搭載されていたF6A SOHC2バルブエンジンは全てK6Aに切り替わっています。

さらに2002年12月にはセダンとバンの上級グレード用エンジンにVVT(可変バルブ)が搭載され、より低回転からトルクフルな走りが可能になりました。

内装は全グレードのドアがようやく鉄板むき出し部分の無いフルトリム化され、自動車らしくなったほか、安全面では助手席エアバッグやシートベルトプリテンショナー(衝突時にシートベルトを巻き取り拘束力を高める装置)なども装備可能になっています。

デザイン優先だった6代目

6代目はデザイン変更が重でメカニズム面での新装備は少なく、ドアハンドルでテールゲートの開閉が可能になったので、運転席側に配されていたバックドアオープナーが廃止されたくらいです。

低燃費用新装備!新エンジンも搭載した7代目

7代目では先代で一旦廃止されていたCVTが復活、ジャトコ製のハイ/ロー2段切替を行う副変速機付きCVTが搭載され、ミッションを大型化せずに変速幅を大きく取れるようになって、燃費向上に貢献しました。

2011年11月に追加された燃費スペシャル、『アルトエコ』に搭載されたR06Aは、ロングストローク&高圧縮比化で効率向上を図った新型エンジンで、停車前にエンジン停止する停車前アイドリングストップ機能と合わせて一層の低燃費を実現。

この新型アイドリングストップでは、停車前のアイドリング停止時でもブレーキを緩めたりハンドル操作をすればすぐエンジン再始動&再加速が可能な、新型のスターターモーターと組み合わせられています。

内装面では一部グレードにキーレスプッシュスタートシステムや、ヘッドレスト付き分割可倒式リアシートを採用しました。

オートマ限定でも乗れるAGSやレーダーブレーキサポートが目玉の8代目

驚きのデザインや新開発プラットフォーム、および徹底した軽量化など特徴の多い8代目アルトですが、装備面では5速ミッションを自動化したAGS(オートギアシフト)が目に付きます。

これは、通常の5速マニュアルミッションを動力化、クラッチやシフトチェンジ操作をコンピューターが自動で行うので、クラッチペダルが無く、それでいてマニュアルミッション同様のダイレクトな駆動力が得られるので、効率が非常に高いのが特徴です。

クラッチペダルが無いのでAT限定免許でも乗れますが、停車時はクラッチが切れているため、ヒルホールドコントロール(坂道で動き出すまで自動でブレーキをかける装置)装着車以外は坂道発進で下り方向に動いてしまうので要注意。

また、内部構造は自動化されているとはいえ5速MTと同じですが、手動でシフトチェンジ操作を行う際はHパターンではなく、マニュアルモードつきATと同じくシフトレバーを前後に動かすシーケンシャル式です。

さらに、スペース効率やコスト面、軽量化への配慮から、リアサスペンションは3代目以降長らく使われてきたI.T.L(5リンクリジッドサスの一種)から、コンパクトカーや軽自動車で一般的なトーションビームに置き換えられました。

安全装備ではカメラセンサーと違って車線や目標物の識別能力は無い簡易的な装置ですがレーダーセンサーが装着され、衝突被害軽減ブレーキ、誤発進抑制機能などがパッケージ化されたレーダーブレーキサポートが設定されています。

また、4輪ABSやESP(横滑り防止装置)がようやく全車標準装備し、目には見えない部分ですが、軽自動車で初となる可変ギアレシオステアリングも採用されました。

派生型

アルトワークス(2~5代目、8代目ベース)

アルトのスポーツバージョンで、2代目と8代目ベースのものを除けば、DOHCターボエンジンを搭載した最強モデルと、SOHCターボエンジン搭載の廉価版が存在します。

2代目ベースで初登場した際には、パワー競争で先行したダイハツ ミラTR-XXを引き離すべく一気に70馬力以上のハイパワーを実現していましたが、運輸省の指導で64馬力に規制されて、それがそのまま現在まで30年以上続く、軽自動車の自主規制上限値となりました。

新規格初の5代目では大型化と重量増加により先代を上回る性能確保が困難だったことや、3ドアホットハッチの需要低迷により短命に終わり、軽クロスオーバーSUVのkeiワークスやレトロ調モデルのアルトラパンSSが後継だった時期もあります。

アルトウォークスルーバン(2代目ベース)

2代目アルトをベースにボンネットから後ろを軽規格一杯の箱型ボディとして、運転席から荷室へはそのまま歩いて入れる(ウォークスルー)という配達などに便利な車。

軽自動車ではダイハツ ミラが始めて人気を呼び、ライバル他社も追随しスズキも作りましたが、ミラのように旧規格660cc末期まで作るほどのロングセラー車にはなれませんでした。

アルトスライドスリム(3代目ベース)

3代目アルトのドアをスライドドア化したもので、550cc時代の前期型では両側スライドドアの3ドアハッチバックという、現在に至るまで極めて珍しい車(他にはプジョー1007など数少ない例しか無い)でした。

しかし、手動スライドドアを坂道で開閉する際など、降車時は元より力の入りにくい乗車時には開閉が難しく、660cc時代の後期型では運転席のみパワースライドドア、助手席側は通常の前後ヒンジドアという左右非対称4ドア車になっています。

アルトハッスル(3代目ベース)

3代目アルトのキャビン後半の屋根を思い切り上げた、軽自動車では唯一のフルゴネットタイプボディを持つ車で、国産車全体でも日産AD MAXなどわずか数例しか無い珍しいモデルです。

商用登録と乗用登録が存在し、後席は広大なヘッドスペースと背の高い荷物を積めるラゲッジになるという、後のトールワゴン的な車でした。

アルトC / アルトC2(5代目ベース)

5代目アルトをベースに、アルトワークスのヘッドライトを流用してクラシック風メッキグリルを与えたのがアルトCです。

その後、メッキを廃して丸目ヘッドライトにまた別なクラシック調の内外装を与えたアルトC2も登場しますが、アルトのクラシック風モデルはアルトラパンに移行しました。

2代目初代光岡 レイ(5代目ベース)

アルトベースのオリジナルボディだった3代目マツダ キャロルをベースにしたレトロカー、初代光岡 レイがモデルチェンジする際、キャロルがアルトの完全OEMになっていたので2代目レイも結果的にアルトベースになったというモデル。

マツダに供給したキャロルのバンパーなどを変更してクラシック風外装にしたのみで、内装などは大きな変更はありません。

アルトラパン(5~8代目ベース)

アルトのユーザーが高年齢化し、特に若い女性ユーザー離れが目立ってきたため、ウサギをモチーフにした女性向けモデルとして発売したのがアルトラパンです。

女性の意見を取り入れたほか、3代目では女性ワーキンググループが企画に深く関わって開発されており、ハコでありながら全く角の無い柔らかいボディラインが特徴となっています。

ただし初代の頃はまだキャラクターが明確化されておらず単なるクラシック風軽自動車としても扱われてり、ターボエンジンを搭載したアルトラパンSSというホットモデルもありました。

アルトターボRS(8代目ベース)

5代目を最後にベーシックモデルへのターボエンジン搭載が途絶えていたアルトへ、久々にターボエンジンを搭載したのがターボRSです。

デビュー当時はターボ+MTを組み合わせた軽ホットハッチが廃れており、アルトターボRSも5速AGS専用車(NAのアルトと異なりパドルシフトもあり)でしたが、MTを熱望するユーザーにはアルトワークス復活で応えました。

5~7代目フロンテ(初代~3代目の5ナンバー版)

1960年代から販売していたスズキ初期からの軽乗用車がフロンテで、初代アルトは5代目フロンテのボンネットバン版という位置づけでした。

ひたすら装備を簡素化、低価格を実現したアルトに対し、フロンテは豪華装備を求めるデラックス路線好みなユーザーにアピールする役割を持っていましたが、ユーザーはフロンテよりアルトの豪華装備化を望み、スズキもそれに応えていきます。

結果的にフロンテの存在意義は急速に失われていき、7代目はわずか数ヶ月販売されたのみで、事実上アルトへの改名(乗用車登録版アルトの登場)で廃止されました。

2~5代目セルボ(初代~4代目、6代目ベース)

初代セルボはフロンテクーペ後継で550cc版となったRR(リアエンジン・後輪駆動)車でしたが、)初代アルト / 5代目フロンテをベースにした2代目セルボ以降、アルトベースの軽スペシャリティカーとなります。

4代目(セルボモード)で一旦廃止されますが、6代目アルトの時代に5代目セルボが再び軽スペシャリティとして復活。

しかし、ライバルのダイハツ ソニカ同様、もはやベーシックともスポーツともつあない軽スペシャリティは中途半端な存在で、一般受けせずに5代目で再び廃止されました。

マツダ キャロル(3~4代目ベースおよび5代目以降OEM)

元々はマツダが4輪車に参入したばかりの1960年代に販売されていたマツダ初の本格4シーター軽乗用車が初代キャロルでしたが一時断絶。

3代目アルトの時代に、アルトのプラットフォームとメカニズムを使ってマツダオリジナルボディを載せた新キャロルが2代に渡り作られました。

しかし、マツダの経営悪化で独自生産をあきらめ、4代目キャロル以降は5代目アルト以降のOEM供給を受けるようになり、アルトと同時期にモデルチェンジを重ねて現在も販売されています。

日産 ピノ(6代目OEM)

マツダ以外にアルトがOEM供給された唯一の例が、6代目の供給を受けた日産ピノです。

日産がOEM供給を受けて販売していた他の軽自動車同様、バンパーなどオリジナルデザイン、標準装備品も日産基準でABSを全車標準装備などオリジナリティを強めていましたが、モコやオッティほどの売れ線では無かったのか1代限りで廃止されました。

モータースポーツでは主にアルトワークスが、新規格時代はアルトバンが活躍

アルトは初代や2代目の途中まで、モータースポーツでそれほど注目される存在ではありませんでしたが、2代目にアルトワークスが追加されてからは、むしろモータースポーツでステージを選ばず活躍する最強の軽自動車となりました。

初期にはスズキスポーツ(現在のモンスタースポーツ)によりワンメイクレースやジムカーナレッスンなどが行われ、軽ターボ車で参戦できるクラスができると全日本ラリー選手権や全日本ダートトライアル選手権でも大活躍。

ライバルのダイハツ ミラやスバル ヴィヴィオが性能を強化、モータースポーツベース車を登場させると、アルトワークスもモータースポーツベース車のワークスRを発売して対抗しました。

特に4代目アルト時代のアルトワークスRは軽量ハイパワーな軽4WDターボとして最強となり、ダイハツに本気を出させて713ccターボのモンスターマシン、ストーリアX4を開発させてなお、互角に戦ったほどです。

また、海外ではメジャーな存在ではありませんでしたが、3代目550cc時代のアルトワークスはシャモニー氷上レースに参戦、わずか550ccなのにDOHC4バルブインタークーラーターボエンジンのため、まるで精密機械のようだと驚かれました。

ベーシック版のアルトも安価なことから軽自動車耐久レースなどのベース車として改造を受け参戦、近年は新規格軽自動車のNAエンジンモデル限定レースに、5代目のアルトバンを中心として主力マシンの1つとなっています。

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