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スバルフォレスター 元祖4WD乗用車メーカー、スバルのクロスオーバーSUV

スバルフォレスター 査定

1970年代の初代レオーネ以来、『国産4WD乗用車の草分け的存在』だったスバルですが、その一方で国産車メーカー他社のように本格的な悪路走破力を持つヘビーデューティー4WD車には縁がなく、1980年代以降のRVブームにも乗り遅れていました。その状況は1989年に初代レガシィ登場以降も変わりませんでしたが、乗用車ベースのシティオフローダー『クロスオーバーSUV』のブームが到来した事でようやくスバルが得意分野を活かせる時代となり、誕生したのがフォレスターです。

目次

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各代の概要と時代背景

悪路走破性の高い乗用車を作ってきたスバルと、出遅れたRVブーム

スバルの自動車史は、現在作っている乗用車と同じく若干特異であり、軽自動車のスバル360で成功後、初の小型車市場本格参入モデル(初の小型車はスバル450)となったスバル1000(1966年)は既に水平対向4気筒エンジンのFF(フロントエンジン・前輪駆動車)でした。

当時の国産車は軽自動車を除き、ほとんどが直列4気筒または6気筒エンジンをフロントに縦置きして、床下を走るプロペラシャフトを介して後輪を駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウト。

つまり他社の国産車とは共通点が極めて少ないのがスバル車の特色でしたが、フロントオーバーハングに背が低くコンパクトな水平対向エンジンを搭載し、駆動輪のフロントタイヤにしっかり荷重をかけるスバル車は悪路走破性や直進安定性に優れていました。

その特性を生かしてラリー競技などで活躍していたスバル車ですが、東北電力からの要請でスバルFF-1 1300G(スバル1000の最終発展型)のライトバンをベースに4WD車を開発。

この『スバルff-1 1300Gバン 4WD』は、ジープのような従来型4WD車が確かにいかなる天候でも優れた悪路走破性を発揮したものの、キャビン(車室)は幌か簡素な鉄板で覆われているのみであり、乗り心地全般にも難があった問題の解決策として開発を依頼されました。

すなわち、「悪路走破性を考えれば4WDは必須なものの、1年を通じて乗用車並の快適性がないとキツイ」という要望に応えたもので、後の乗用車的な快適装備を備えたクロカンRV車や現在のクロスオーバーSUVに通ずるものがあります。

このスバルff-1 1300G 4WDが好評だったのでスバルは次期モデルの初代レオーネ(1971年10月発売)で本格的に量産4WD車をラインナップすることに決定。1972年8月にエステートバン4WDを、1975年1月には4ドアセダン4WDを発売したスバルは、国産車としては初めて、世界的にも例が少ない4WD乗用車メーカーとなりました。

しかし、4WDを売りにしてきたスバルではありましたが、エンジンやミッション、駆動系といった基本メカニズムは1960年代のスバル1000からの延長で、「4WDはスゴイけど、デザインは野暮ったいしメカニズムも古臭く、妙に腰高」というイメージが強まります。
つまりマニアはともかく一般受けせず、海外向けにはブラットというレオーネベースのピックアップトラックを発売(初代1977年)したものの国内販売はなし。

初代三菱・パジェロ(1982年発売)の大ヒットで、乗用車並の快適装備と内外装を施したクロカン4WDを中心にRV(レクリエーショナル・ビークル)ブームとなった時も、スバルだけはこの種のモデルをほとんど発売しませんでした。

その徹底ぶりたるや、一時期業務提携していたいすゞからビッグホーンのOEM供給を受け『スバル・ビッグホーン』として販売したものの、一応ラインナップしたというだけで積極的に販売しなかったほどです。

頑固に旧態依然の独自メカニズムを通している間にすっかり時代に乗り遅れていたスバルは、対米輸出の不振もあって1980年代には自動車事業存続の危機にまで陥りますが、1989年の初代レガシィがどうにかヒットして巻き返し、以後インプレッサなどヒット作を得ます。

その中心となったのは、基本コンセプトこそ変わらないものの新設計のエンジン、プラットフォーム、フルタイム4WDシステムと、流行に沿った(というよりこれはスバルが流行の先端を行った)ステーションワゴンのラインナップでした。

さらに、1990年代半ばになるとトヨタ・RAV4やホンダ・CR-Vといった乗用車ベースのシティオフローダー『クロスオーバーSUV』が到来。

相変わらず本格オフローダー的なボディを作らないスバルでしたが、この時ばかりはツーリングワゴンの最低地上高を上げたクロスオーバーSUV風モデルでブームへの追従に成功、それが1997年2月に初代モデルを発売したフォレスターです。

総合概要:当初はワゴンのクロスオーバー版、途中からクロスオーバーSUV化

スバルで初のクロスオーバーモデルとなったのは、初代インプレッサ・スポーツワゴンにフロントガードや背面スペアタイヤなどRV風の外観を持たせた『インプレッサ・グラベルEX』でした(1995年10月発売)。

今では珍しくない『既存車のクロスオーバー仕様』ですが、1990年代半ばの時点では存在意義が不明と言われた紛れもない『珍車』扱いで販売は全く鳴かず飛ばずで終わったものの、本命のフォレスターは違いました。

ベースは初代インプレッサでしたがルーフ高を上げてより箱型とした新たな専用ボディを持ち、最低地上高を上げてルーフレールなども標準装備してSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)らしさを強調。

それでいてインプレッサ・グラベルEXのような余計な装飾は施さずスマートな外観で、インプレッサ譲りのターボエンジンでオン / オフ問わないスポーティな走りも可能なスポーツワゴン的モデルとして、大ヒットを記録したのです。

これでレガシィ、インプレッサと並ぶスバルの三本柱に成長したフォレスターは2代目までキープコンセプトでしたが、3代目で思い切った寸法拡大やデザイン変更を行い、クロスオーバーSUVへと路線変更を行います。

4代目では当時のレガシィやWRXと揃えたデザインである意味では初代 / 2代目の路線に回帰しますが、高い最低地上高や大径タイヤによって、より深くクロスオーバーSUVとしての性格を強めていきました。

5代目に至ってはデザインこそ4代目からの超キープコンセプトでしたが内外装のクオリティアップとターボエンジン廃止により、『プレミアムクロスオーバーSUV』的な路線となり、スバルのプレミアムカー路線を支えています。

スバルのラリーイメージを活かしたSUV、初代SF系(1997-2002)

初代フォレスターは1997年2月に発売。

発売直前まで車名は『ストリーガ』であり、1995年の東京モーターショーにもその車名で出展されましたが、語源となったスペイン語での魔女(ストリーガ)が欧米では魔女狩りなどネガティブイメージを連想された事や、ストーカーやストリーキングなど連想させる別な単語にネガティブなものが多すぎたこともあり、急遽変更された経緯があります。

基本的にはスバル独自の水平対向エンジンとフルタイム4WDシステムを組み合わせた左右対称AWD(全輪駆動)システム『シンメトリカルAWD』を軸にしたステーションワゴン。

しかし最低地上高200mmと悪路でも腹を打ち付けないロードクリアランス、ヘッドスペースはインプレッサやレガシィのワゴンより余裕を持たせつつ、シンメトリカルAWDによる低重心で安定した走りから、ワゴンとSUVの中間的モデルとされました。

当初は2リッターターボエンジンのみのラインナップで上から『T/tb』、『S/tb』、『C/tb』の3グレードで、いずれも5速MTか4速ATからミッションを選べましたが、NA(自然吸気)の『C/20』や『S/20』が追加されてターボ廉価版『C/tb』は後に廃止。

さらに自然吸気の大排気量版、2.5リッターDOHCのEJ25を搭載した『T/25』が追加されましたが、カタログモデルとしてはこのT/25のみが4速AT限定でした。。

ベースとなったインプレッサにはFF車が存在したのとは異なりフルタイム4WDのみなのも特徴で、他のクロスオーバーSUVでは実際の悪路走破性を要しないユーザー向けに経済性の高いFF車がラインナップしていたのとは、一線を画しています。

なお、フルタイム4WDシステムは基本的にMT車がビスカスカップリング付きセンターデフ式(前後駆動配分50:50)、AT車がアクティブトルクスプリット式(前60:後40駆動配分で状況に応じ後輪の駆動を増す)です。

(代表スペックと中古車相場)
スバル SF5 フォレスター S/tb 1997年式
全長×全幅×全高(mm):4,450×1,735×1,580
ホイールベース(mm):2,525
車重(kg):1,350
エンジン:EJ20 水冷水平対向4気筒DOHC16バルブ ICターボ
排気量:1,994cc
最高出力:184kw(250ps) / 6,250rpm
最大トルク:306N・m(31.2kgm) / 4,000rpm
10・15モード燃費:11.4km/L
乗車定員:5人
駆動方式:4WD
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F・R)ストラット
中古車相場:9.8万~98万円(車両本体価格・2020年8月現在)

キープコンセプトで引き続き走りのSUVとしてターボが人気、2代目SG系(2002-2007)

初のモデルチェンジで2002年2月、2代目が登場。

基本的には『最低地上高の高い専用ワゴンボディを持つクロスオーバー』で変わらず、モデルチェンジ当初の外観も発売当時は変わりませんが、2005年1月のビッグマイナーチェンジでヘッドランプが横長になるなどフロントマスクが大幅に変更されました。

通常版のほか、オンロード志向の派生モデルと言える『フォレスターCROSS SPORTS』、STIバージョンの『フォレスターSTi Version』の3バージョンに分かれ、それぞれにグレード展開されています。

エンジンもモデルチェンジ当初、2.5リッターDOHC自然吸気版のEJ25は廃止されていましたが、『STi Version』にターボ版EJ25が復活。主力のEJ20ターボもスペック上の最高出力は落とされましたが、車の性格に合わせて最高出力、最大トルクともに低回転で発揮するようになり、実用面での使い勝手の良さはむしろ向上しました。

また、クロスオーバー車というキャラクターをより活かす新グレードが登場し、撥水加工表皮シートやフォグランプ、荷室とリヤシートバック(倒すと荷室の床になる)にハードマットを採用した『X BACKPACK EDITION』を追加(2003年2月)。

『X BACKPACK EDITION』と同様のハードマットに加え、カーゴネットで荷物の散乱を防ぎ、HIDフォグランプやサイドエアバッグなどを追加した『X20タフパッケージ』も特別仕様車として登場(2005年8月)しています。

また、アメリカのアウトドアブランドとコラボレーションし、エンブレム付きリアクォーターピラーカバー、型押しロゴ入り専用ベージュ食本革シート、ドアトリム&インテリアにベージュ色を採用した『 L.L.Bean EDITION』を特別仕様車として発売しました(2003年2月。後にカタログモデル化)。

(代表スペックと中古車相場)
スバル SG5 フォレスター XT 2002年式
全長×全幅×全高(mm):4,450×1,735×1,585
ホイールベース(mm):2,525
車重(kg):1,390
エンジン:EJ20 水冷水平対向4気筒DOHC16バルブ ICターボ
排気量:1,994cc
最高出力:162kw(220ps) / 5,500rpm
最大トルク:309N・m(31.5kgm) / 3,500rpm
10・15モード燃費:13.0km/L
乗車定員:5人
駆動方式:4WD
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F・R)ストラット
中古車相場:13.8万~169.9万円(車両本体価格・2020年8月現在)

デザイン一新でクロスオーバーSUV路線へ大転換、3代目SH系(2007-2012)

2007年12月にフルモデルチェンジを受けた3代目では、従来までの『専用ボディを持つ最低地上高の高いクロスオーバーワゴン』風から一転、いかにもクロスオーバーSUV的なボリューム感あるデザインへと変更。

2代目までのユーザーからは賛否両論あったものの、今も昔も北米依存度が強いスバルにとっては、主要市場たる北米で評価されるクロスオーバーSUVが不可欠であり、実際に現地では高い評価を受けた事からスバル躍進に大きな役割を果たしたモデルです。

ボディサイズは一回り大きくなり、特に全高は90mmも高くなっていますが、トレッド(左右車輪間隔)が30mmほど拡大されてタイヤの切れ角を増したため、最小回転半径は5.4mから5.3mへとむしろ小さくなり、車内もゆったりとして使い勝手はむしろ向上しています。

重量増加分はターボエンジンは最高出力増大と最高出力・最大トルクとも先代より低回転から発揮させたことや、自然吸気エンジンもSOHCからDOHC化で高出力かつ低排出ガス化されたことで、動力性能を維持しつつ環境性能との両立。その他、リアサスペンションがストラットからダブルウィッシュボーン化されるなど、車格が引き上げられた分だけ高品質化されています。

結果的にこのモデルチェンジは北米のみならず日本でも受け入れられ、『人気のクロスオーバーSUV』への転身は、フォレスターにおいても成功することになって、スバルはようやく待望の本格SUVを手に入れました。

グレード構成は廉価版『X』、標準モデルの『XS』、ターボ車の『XT』と基本的には先代を踏襲しましたが、全高アップによりいかなる意味でも機械式立体駐車場に収まる車高にならないためか、先代の『CROSS SPORTS』系は廃止。

代わって、XSやXTに上質なプラチナ内装を施した『プラチナセレクション』、本革内装を追加した『プラチナレザーセレクション』、ブラックレザーシートや本木目内装を施した『ブラックレザーリミテッド』などフォーマル向け豪華仕様を設定しました。

2010年10月のマイナーチェンジでは自然吸気エンジンがEJ20から新世代の直噴エンジンFB20へと変更、サスペンションやブッシュ類も見直されて乗り心地や走行安定性が向上。
先代にあった『STi Version』廃止で消滅していた2.5リッターターボエンジン車も『S-EDITION』として復活、フォレスター初となる5速ATに組み合わせられています。

(代表スペックと中古車相場)
スバル SH5 フォレスター XT 2007年式
全長×全幅×全高(mm):4,560×1,780×1,675
ホイールベース(mm):2,615
車重(kg):1,460
エンジン:EJ20 水冷水平対向4気筒DOHC16バルブ ICターボ
排気量:1,994cc
最高出力:169kw(230ps) / 5,600rpm
最大トルク:319N・m(32.5kgm) / 2,800rpm
10・15モード燃費:13.0km/L
乗車定員:5人
駆動方式:4WD
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)ダブルウィッシュボーン
中古車相場:17.8万~119万円(車両本体価格・2020年8月現在)

アイサイトや新型エンジンを搭載、4代目SJ系(2012-2018)

2012年11月、フルモデルチェンジにより4代目が登場、3列シートミニバンのエクシーガなどにも通じる重厚感あるデザインでSUVらしさを強調しつつも、フロントグリルやヘッドランプのデザインなどはレガシィやWRXなどと共通項を持たせ、スバル車らしさを出しました。

グレード構成は先代までと変わり、ターボ車を除き排気量に「i」がつくとともに、スバルがその高性能をアピールする安全運転支援システム『アイサイト』搭載をアピールするものとなります。

具体的には発売当時が『2.0i』、『2.0i-L』、『2.0i-L EyeSight』、『2.0i-S EyeSight』、『2.0XT』、『2.0XT EyeSight』で、2.0XT系のみターボエンジンで他は自然吸気エンジン。
エンジンは全て新型となり、自然吸気は先代後期から採用されたFB20、ターボはFA20直噴ターボ(DIT)です。

フロントマスクからは2代目までの路線に戻ったようにも見えますが、大柄かつ車高の高いボディから先代同様にクロスオーバーSUV路線な事には変わりはありません。

ただし、従来の4速/5速ATからCVTへの変更、SI-DRIVEの採用拡大や電子制御による統合制御システム『X-MODE』、そして『アイサイト』の採用によって最新装備が満載されたことにより、先代までとはだいぶ異なる先進技術をアピールしたモデルになりました。

なお、この代からターボ車にMTが廃止され、新たに設定された6速MTは自然吸気エンジンにのみ組み合わせられるなど、走りを強調したクロスオーバーから高級感あるプレミアム・クロスオーバー路線へと性格を大きく変えていきます。

(代表スペックと中古車相場)
スバル SJG フォレスター 2.0XTアイサイト 2012年式
全長×全幅×全高(mm):4,595×1,795×1,695
ホイールベース(mm):2,640
車重(kg):1,590
エンジン:FA20 水冷水平対向4気筒DOHC16バルブ ICターボ
排気量:1,998cc
最高出力:206kw(280ps) / 5,700rpm
最大トルク:350N・m(35.7kgm) / 2,000~5,600rpm
JC08モード燃費:13.2km/L
乗車定員:5人
駆動方式:4WD
ミッション:CVT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)ダブルウィッシュボーン
中古車相場:69.8万~322.3万円(車両本体価格・2020年8月現在)

超キープコンセプトながら大人のプレミアムSUV路線へ、5代目SK系(2018-)

最新の5代目は2018年6月にモデルチェンジして登場、スバルの共通デザインテーマ『DYNAMIC x SOLID』に基づいたというデザインは、発表当初に4代目と一目でなかなか区別がつかないと言われたほど。

しかしボディサイズは拡大され、ホイールベース延長もあって後席の快適性などは大きく向上。5代目インプレッサ以降採用されているスバルの新シャシー『スバル・グローバル・プラットフォーム』によって、操縦性や安定性は飛躍的に向上しました。

エンジンはついにターボエンジンが廃止されて2リッターのFB20と2.5リッターのFB25、2種類のDOHC直噴自然吸気エンジンとなり、MTも廃止されて全車CVTとなったことから、かつての『ターボエンジンとMTを駆使して走る豪快かつスポーティなクロスオーバー』から脱皮しています。

代わって設定されたのはハイブリッド車の『アドバンス』グレードで、リチウムイオンバッテリーの電力で駆動するMA1モーターでFB20エンジンを強力にアシスト、新時代のパワフルなスバル車は電動車であることを強烈にアピール。

大型かつ重量増大した中でも品質の高い走りを得るべく、ブレーキもリアがソリッドディスクだったのが、4輪ともベンチレーテッドディスクブレーキに更新されました。

日本人好みであり、かつてWRCを戦ったラリーイメージをスバルに求める事の多いユーザーからは、ターボエンジンやMTの廃止を惜しむ声が強いものの、その評価はモデルライフ全体を通じて定められていきます。

なお、グレードは大幅に整理され、2.5リッターエンジンを搭載する『ツーリング』と豪華装備版『プレミアム』、先代では特別仕様車だったのがカタログモデルに昇格した『X-BREAK』と、2リッターハイブリッド『アドバンス』の4種類です。

(代表スペックと中古車相場)
スバル SKE フォレスター アドバンス 2018年式
全長×全幅×全高(mm):4,625×1,815×1,715
ホイールベース(mm):2,670
車重(kg):1,640
エンジン:FB20 水冷水平対向4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,995cc
最高出力:107kw(145ps) / 6,000rpm
最大トルク:188N・m(19.2kgm) / 4,000rpm
モーター:MA1 交流同期電動機
最高出力:10kw(13.6ps)
最大トルク:65N・m(6.6kgm)
WLTCモード燃費:14.0km/L
乗車定員:5人
駆動方式:4WD
ミッション:CVT
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)ダブルウィッシュボーン
中古車相場:189.7万~350万円(車両本体価格・2020年8月現在)

各代の新装備

初代

基本メカニズムや装備面ではベースとなったインプレッサ(初代)に準じていますが、発売当時から運転席エアバッグを標準装備(助手席はオプション)していたのはスバル初。

さらに1997年7月に追加された『C/20』以降、自然吸気エンジン版の5速MTにはスバルがレオーネで採用していた2段副変速機(トランスファー)『デュアルレンジ』を復活させて搭載。

乗用車ベースのクロスオーバー車には通常クロカン4WDのようなハイ・ロー切替式副変速機がないものが主流ですが、スバルでは同時期(1997年8月)にマイナーチェンジした初代レガシィ・ランカスター同様、乗用ベースクロスオーバーでありながら搭載しました。

これにより悪路走破性を高めたほか、5速MT×2で、実質10速MT(バックギアも2速)として機能し、フォレスターでは2代目のビッグマイナーチェンジ(2005年)まで搭載され続けています。

なお、自然吸気エンジン搭載グレード『C/20』と『S/20』に搭載されるエンジンは2000年1月のマイナーチェンジで型式はそのままでリーンバーン(希薄燃焼)エンジンとなり、10・15モード燃費が12.6km/Lから13.4km/Lに向上しました。

2代目

機能・装備面では初代から踏襲した面の多い2代目ですが、2004年2月の改良ではスライド式リヤシートリクライニングを初採用し、後席の快適性を向上。

2005年1月のビッグマイナーチェンジでは外観のみならず性能面でもモデルチェンジ級の変更が行われ、全車4輪ディスクブレーキ化&フロント2ポットキャリパー化でブレーキの能力向上を図ったほか、NAエンジンの低排出ガス化、全車大容量マフラーで静音化&出力向上が図られました。

また、2005年12月の改良では、荷物の積載時や後席乗車時にリアが沈んでヘッドランプ光軸が上向きになりやすいのを容易に対処可能な、ヘッドランプレベライザーが標準装備化されています。

3代目

3代目の新装備としては、『インテリジェント』(燃費向上のためターボの過給圧を下げる)、『スポーツ』、『スポーツ・シャープ』(レスポンスアップ)の3モードからエンジンの出力特性を選べる『SI-DRIVE』をターボ車のXTに初採用。

自然吸気エンジン車でも、AT車にはメーターパネル内に低燃費運転を促進させるエコランプを点灯させる『Info-ECOモード機能』を採用しました。

2010年10月のマイナーチェンジで従来の自然吸気版EJ20に代わって搭載されたFB20エンジンは、それまでEJ20の弱点だった低燃費など高効率化が難しかった点を改良した新世代エンジンで、ロングストローク化と直噴化により、従来ではトルク感の薄かった低回転から全域に渡ってスムーズな加速性能と燃費など環境性能を実現。

また、内外装面でもマイナーチェンジで最廉価版の『2.0X』を除きLEDサイドターンランプ付きドアミラーと、左右独立温度調整機能付きフルオートエアコンを採用しています。

4代目

新装備が盛り沢山となった4代目の目玉はやはりスバル自慢のステレオカメラ式安全運転支援システム『アイサイト』で、当初はモノクロカメラだったVer.2を装備していましたが、2015年10月のマイナーチェンジでカラーカメラのVer.3に進化。

Ver.3での主な機能は衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能、車線逸脱防止アシスト、全車速追従機能付きクルーズコントロールなどで、BRZやWRX STIなど走りのモデルを除くスバル主要車種ではフォレスターが最後の搭載車となり、これでスバル主要全車にアイサイトが設定されました。

エンジンは先代で更新された自然吸気エンジンFB20に加え、ターボエンジンもDIT(直噴ターボ)エンジンFA20に換装され、ATもスバル独自のCVT『リニアトロニック』になるとともに、自然吸気エンジンのアイサイト非搭載車には6速MTも設定。

エンジン特性を変化させる『SI-DRIVE』もターボ車だけでなく、最廉価グレードの『2.0i』を除く自然吸気エンジン車にもレスポンスアップモードの『スポーツ・シャープ』を省いた上で搭載されました。

さらに『2.0i』を除く全車に、エンジン、トランスミッション、AWDシステム、横滑り防止装置など走行に関する全てを統合制御する『X-MODE』を搭載し、駆動力やブレーキの電子制御コントロールによって悪路走破性やぬかるみなどからの脱出性能を向上させています。

悪路や滑りやすい路面の急な下り坂でも、ブレーキを使わずとも車速を低速に限定して安全に下ることのできる『ヒルディセントコントロール』も、X-MODEに備えられた昨日のひとつで、電子制御によりこの代から悪路走破性は飛躍的に高まりました。

また、各種装備の作動状況や燃費、メンテナンス情報などをカラーの大画面で表示する『マルチファンクションディスプレイ』をインパネ中央上部に搭載。他にもハイビーム照射範囲を無段階調整できる『アダプティブドライビングビーム』や、ステアリング連動ヘッドランプ、ステアリングヒーターなど、スバル車の装備が多数設定されています。

5代目

5代目ではモーターと水平対向エンジンを組み合わせた『e-BOXER』をフォレスターとして『アドバンス』に初設定。

あくまでモーターアシストがメインでEV走行は発進時と低速時のみ、かつ高速走行時にはエンジンのみで走る事からフルハイブリッドというより限りなくマイルドハイブリッドに近いためか、スバルではハイブリッドとは称していません。

それでも、燃費は2.5リッターエンジンの他グレード(14.6km/L)に対して18.6km/Lと、このサイズのSUVとしては比較的良好な数値を誇っており、水平対向エンジン=燃費には期待できないという先入観からの脱皮が期待されます。

また、アイサイト(Ver.3)も全車速域でハンドル、アクセル、ブレーキ全てを自動制御、自動車専用道路で先行車追従機能付きクルーズコントロールを作動させれば、運転時の疲労が大幅に低減される『アイサイト・ツーリングアシスト』へ進化して全車標準装備。

さらに『アドバンス』には専用カメラでドライバーをモニタリングし、居眠りを検知すればドライバーや同乗者にマルチファンクションディスプレイの表示と警報で注意喚起する『ドライバーモニタリングシステム』もスバル車初装備となりました。

また、電動式となったことでパーキングブレーキ用のレバーやノブなどは消え、センターコンソール付近などドライバー周りががスッキリとしています。

派生型

フォレスターSTiシリーズ(初代)

レガシィやインプレッサでは既に設定されており、フォレスターでも追加が熱望されていたSTi(現在のSTI)グレードが登場。最初の『S/tb-STi』(2000年5月)はターボ車『S/tb』の4速AT仕様をベースにローダウンサスペンションで30mm車高を下げて専用エアロや専用ブレーキを装備。

『S/tb-STi II』(2000年12月)ではベース車は同じなものの、フルタイム4WDを電子制御式のVTD-4WD化し、サスペンション改良やタイヤ、ステアリングギア比、エンジンマウントを変更し、よりオンロード性能を追求。『STi IIタイプM』(2001年10月)は5速MTベースでローダウン量は45mmとなったほか、STiチューンのエンジンはノーマルより強力な250馬力を発揮しました。

最後の『S/tb-STi IIリミテッド』(2000年12月)は、『S/tb-STi II』のRAYS製アルミホイールやパナソニック製サウンドシステムなど装備充実版です。

フォレスターCROSS SPORTS(2代目)

2代目に設定されたシティオフローダー版フォレスターというべきモデルで、フロントの倒立式ストラットサスペンションやサマータイヤ採用で、最低地上高170mmとクロスオーバーとしては最低限ながら、機械式立体駐車場も利用可能な車高1,550mmに収めました。

2002年10月の登場当初はターボ車のみでしたが、需要の多さからフォレスターの柱の1つとして成長し、2003年7月にはNAエンジン版『CROSS SPORTS 2.0i』を追加し、従来のターボ車も後に『CROSS SPORTS 2.0T』へと改称。

2004年6月には『CROSS SPORTS 2.0i』をベースに低価格で装備を充実、ブラック/グレーの2トーンカラー専用シートなどを採用した特別仕様車『CROSS SPORTS 2.0a』を発売。

『CROSS SPORTS 2.0T』をベースにしてSTIの17インチホイールなどスポーツ感を高める装備を充実させた特別仕様車『CROSS SPORTS S-EDITION』や『CROSS SPORTS 2.0T SPORT』など、通常版のフォレスターとは異なるグレード展開も見せました。

フォレスターSTi Version(2代目)

2004年2月に追加された高性能版フォレスターで、18インチタイヤやブレンボブレーキシステムを装備し、他のフォレスターにはない2.5リッターDOHCターボエンジンを搭載して6速MTと合わせた、STiの名にふさわしい特別なスポーツ版です。

フォレスター tS(3代目)

マイナーチェンジで追加された3代目の2.5リッターターボ版『S-EDITION』グレードをベースに、STIが企画開発した300台限定車が『ts』。STIチューニングの前後ダンパーとダウンサスで車高を15mmダウンし、リアに『フレキシブルドロースティフナー』と呼ばれる足回り補強パーツなどを装着、エンジンチューンなどは加えられていませんが、強靭でしなやかな走りを目指したモデルです。

フォレスター tS(4代目)

STIコンプリートカーのtsは2014年11月に4代目にも設定され、専用内外装や専用サスペンション、ブレンボブレーキシステム、19インチのBBSホイールのほか、SI-DRIVEのスポーツ・シャープモードは専用セッティング。ローダウンされて車高が変わったこともあり、アイサイト(Ver.2)もSTIでセッティングされた専用仕様が標準装備されています。

フォレスターX-BREAK(4代目)

4代目ベースのアウトドア・ギア仕様で、ファブリックのシートとカーゴフロアボードを撥水仕様として、本革巻のステアリングホイールやシフトレバーを装備、ドアアームレストも含めオレンジのステッチを施しました。

外装にもダークシルバー塗装の17インチアルミホイールや、シルバーのルーフレールを装備し、より豪華SUV色を強化。後に専用ボディカラーを追加されて、最大10色もの豊富なカラーラインナップを誇りました。

ダカールラリーやラリーレイドモンゴルに参戦したフォレスター

レガシィやインプレッサ、WRX、BRZといったスポーツイメージの強いスバル車に囲まれたフォレスターですが、SUVとはいえモータースポーツと無縁ではありません。

初代フォレスターはWRC(世界ラリー選手権)ほどの大舞台ではありませんが、オーストラリアやニュージーランドなどの国際ラリーに出場した事もあり、ベースのインプレッサさながらラリードライブを見せた事もありました。

さらに3代目はラリーレイドモンゴル、4代目はダカールラリーにも出場しており、いずれもスバル自身のワークス参加ではないとはいえ、『4WDのスバル』らしく世界各地のモータースポーツで活躍しています。

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