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若いファミリー層からスペース効率を追求したい独身男女まで!軽自動車第2の大革命を起こし続ける、歴代ダイハツ タント

タント 査定

1993年に登場したスズキ ワゴンRで軽自動車の売れ筋は一気に天井の高いトールワゴン系へと移っていき、その代名詞的存在としてその後10年ほど、そのジャンルでワゴンRが販売台数No.1を誇ります。ライバル各社もその牙城を崩すべく対抗車種を繰り出しますが、ついにそれを達成したのは、さらに天井を上げてショートノーズ&ロングキャビン化、スペース効率を徹底的に追求したハイトールワゴン、ダイハツ タントでした。以後、軽自動車販売No.1の座はタントを基準にした各ライバル車が、し烈な争いを繰り広げることになります。

目次

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各代の概要と時代背景

軽ハイトールワゴンという”軽自動車第2の革命”を起こしたダイハツ タント

安いゲタ車でありシティコミューター、あるいは安価な商用車がほとんどで、それをベースに強力なエンジンを積んだホットハッチがリトルダイナマイト的存在として人気だった、1990年代中盤までの軽自動車。

そこにスペース効率という革命を起こしたのは、単に天井の高さを上げるだけでなく、着座位置やショートノーズ&ロングキャビン化まで踏み込んだ、初代スズキ ワゴンR(1993年登場)でした。

そこからダイハツ ムーヴやホンダ ライフ、スバル プレオ、三菱 トッポBJというフォロワーが現れていくのですが、ワゴンRのブランド力は素晴らしく、ライバル各社はモデルチェンジを重ねてもなかなか販売台数で追いつけません。

その壁をついに破ったのが、初代ワゴンR登場から10年後、2003年にデビューした初代ダイハツ タントでした。ワゴンRやそのフォロワー以上に天井の高さを上げて開放感を持たせた上に、エンジンルームがより短い超ショートノーズ&ロングキャビン化で車内は広々、90度開く大型ドアで乗降性も良かったのです。

いわば、軽トールワゴンのワゴンRを超えた軽ハイトールワゴン、「超ワゴンR」というべきタントにユーザーは飛びつき、時代は「より高く広々と、乗り降りしやすい軽自動車」を求める、軽自動車第2の革命をもたらしたのでした。

このタントにもスズキ パレットやホンダ ゼスト、三菱 ekスペース / 日産 デイズルークスというフォロワーが登場して追撃するのですが、タントもワゴンR同様ブランド力と商品改良で対抗し、ホンダ N-BOX登場までなかなか販売No.1の座を譲らなかったのです。

見た目のインパクトで広さをアピールした元祖軽ハイトールワゴン、初代(2003-2007)

2003年11月に登場した初代タントは、長らく軽乗用車販売No.1の座を誇るスズキ ワゴンRにユーザーが何を求め、そしてそれ以上に何を希望するかを考え抜いた末にダイハツがたどり着いた力作でした。

すなわち、ワゴンRが切り開いた、「着座位置が高く、エンジンルームは狭くてショートノーズ&ロングキャビン化、運転席からの視界や開放感、乗降性に優れ、軽自動車サイズで最大限追求したスペース効率追求型」を、さらに突き詰めていったのです。

その結果は、ユーザーはワゴンRと同じような車であれば安心感ある定番のワゴンRに流れてしまうので、新しい定番を作るしか無く、それには車内をより広げるだけでなく、見た目ですぐわかるものであれば良い、ということになります。

そこでエンジンルームを極限まで短くして超ショートノーズ化&キャビン(車室)を広く取るとともに、それをアピールするように1BOX車にすら見えるデザインを採用。

車名もイタリア語で「とても広い、たくさんの」を意味し、日本語でも「たんとお食べ?」など「たくさん」に通じる言葉である「タント」にするなど、イメージ作りも徹底しました。

メカニズム的にはエンジンやミッション、サスペンションなどムーヴと同様、車重増加に対応した強力なDOHCエンジン(NA)とDOHCターボエンジンを採用し、4WDのNAが3速ATなのを除き4速ATを採用して走行時の快適性を高め、足元の広いコラム式シフトを採用。

ドアは前後とも90度まで大きく開く大型ドアを採用し、高い天井と合わせて乗り心地を従来車より大きく高めました。

さらに、ムーヴ同様にメッキパーツの採用などでアグレッシブデザインとしたタントカスタムを設定し、ファミリー向けから独身の若い男女まで広いユーザー層にアピールしたのです。

このダイハツの狙いは見事に的中し、ワゴンRを上回るヒットを達成、以後の軽自動車は「より広く、より高く、しかもそれが見た目でわかりやすく」がトレンドとなっていきます。

また、当時のムーヴが特徴としていた横開きではなく上開きバックドアを採用したことや、高い天井と低床フロアによって車椅子での乗降も容易になり、福祉車両フレンドシップシリーズの「タントスローパー」は福祉タクシーなどでも人気となりました。

(代表スペックと中古車相場)
ダイハツ L350S タント カスタムRS 2006年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,725
ホイールベース(mm):2,440
車重(kg):920
エンジン:EF-DET 水冷直列3気筒DOHC12バルブ ICターボ
排気量:659cc
最高出力:64馬力 / 6,400rpm
最大トルク:10.5kgm / 3,200rpm
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:4AT
燃費(km/L):17.6(※10.15モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場(各型全て):0.1万円~88万円

最高の乗降性を誇る”ミラクルオープンドア”を採用した2代目(2007-2013)

2007年12月に2代目へとモデルチェンジ、見た目はキープコンセプトでしたが、機能的には初代タントでアピールしたメリットをさらに追求する、大きな改良が施されています。

それが助手席側後部ドアに採用した「ミラクルオープンドア」で、従来のヒンジ型ドアではなく、Bピラー(前後ドア間の柱)内蔵のビルトインピラー式大型スライドドア(運転席側後部ドアは従来型のヒンジドア)になり、上級グレードは電動パワースライドドアでした。

つまり、助手席側前後ドアを開くと、前後を仕切るBピラーが無い広大な開口部が登場、子供が走って飛び乗るような乗り方でも全く危険が無く、後席に大きな荷物を乗せるにも従来のようにヒンジドア付け根やBピラーが邪魔にならなかったのです。

さらに、同世代のムーヴが既に採用していた新型のロングホイールベース型プラットフォームによって後席足元はさらに広くなり、3列目シートこそ持たず幅も狭かったものの、前後方向のゆとりや乗降性は大型低床ミニバン並になりました。

そしてFF車のフラットフロア化、「X Limitedスペシャル」グレードでのフローリングフロア採用(軽自動車初)、NA、ターボともに新型のKF型エンジン採用と、一部グレードにはCVT(無段変速機)も採用して、商品性を大幅に高めています。

2010年10月のマイナーチェンジではCVTを全グレードに採用し、廉価グレード以外ではミラクルオープンドア開口部の足元を照らす「スライドドアステップランプ」で、夜間の乗降性も高めました。

エンジンの改良も続けられて燃費は最終的に最高25.0km/Lに達し、スペース効率だけでなく高い経済性によって、軽乗用車販売台数No.1の座を維持し続けたのです。

(代表スペックと中古車相場)
ダイハツ L375S タント カスタムRS 2012年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,750
ホイールベース(mm):2,490
車重(kg):960
エンジン:KF-DET 水冷直列3気筒DOHC12バルブ ICターボ
排気量:658cc
最高出力:64馬力 / 6,400rpm
最大トルク:9.4kgm / 4,000rpm
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:CVT
燃費(km/L):22.2(※JC08モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場(各型全て):9.5万円~138万円

両側スライドドア化などで魅力をさらに高めた3代目(2013-)

2013年10月にモデルチェンジを受けて3代目となると、追い上げてくるライバル車で採用した技術も投入して、さらなる商品性強化を図ります。

大きく変わったのは片側だけだったスライドドアを両側に採用したことと、助手席のロングスライドでA型ベビーカーを畳まず後席の床に積載可能になったことです。

さらに、助手席シートバックレバー(軽自動車初)の採用で、助手席以外からもあらゆるところから助手席のスライドやリクライニングを可能としたことで、使い勝手を大きく向上させました。

軽自動車の主要ユーザーとなっていた若いファミリー層へアピールする機能を数多く採用したことで、商品性を大きく高めましたが、改良点はそれだけではありません。

機能追加で増えた車重をカバーするため、外装上部に樹脂部品を多用して軽量化および重心低下により、従来通りの走行性能を確保。

衝突被害軽減ブレーキ「スマートアシスト」の採用グレードを設定したほか、スマートアシストのセンサーは段階的に強化され、最新型ではパノラマカメラを装備して対歩行者機能や車線逸脱警報機能も強化した、SAIII(スマートアシストIII)に発展しています。

これらの改良によって販売台数は引き続き好調で推移し、2014年上半期、および2014年の年間販売台数で、軽乗用車としては初めて「登録車(白ナンバー)も含めた新車販売台数日本一」となりました。

3代目はライバル車の台頭やモデル末期ということもあり、2017年には既にNo.1というほどではなくなっていますが、依然として販売ランキング上位車種なことには変わりなく、ムーヴやミライースとともに、ダイハツの軽自動車販売シェアNo.1の座を支えています。

(代表スペックと中古車相場)
ダイハツ LA600S タント カスタムRSトップエディションSAIII 2018年式
全長×全幅×全高(mm):3,395×1,475×1,750
ホイールベース(mm):2,455
車重(kg):960
エンジン:KF-DET 水冷直列3気筒DOHC12バルブ ICターボ
排気量:658cc
最高出力:64馬力 / 6,400rpm
最大トルク:9.4kgm / 4,000rpm
乗車定員:4人
駆動方式:FF
ミッション:CVT
燃費(km/L):26.0(※JC08モード燃費)
サスペンション形式:(F)ストラット・(R)トーションビーム
中古車相場(各型全て):46.8万円~230万円

各代の新装備

広大なスペースとその効率を高めるロングスライドリアシート採用の初代

初代タントは初代ワゴンRに次ぐ”第2の軽自動車革命”として、そのパッケージングが最大の新装備でした。
エンジンルームは極限まで短くされて1BOXミニバンのように長いキャビンを持ち、室内長2,000mmは当時の軽乗用車トップ。

さらに後席は左右分割で260mmものロングスライドを可能にしていたので、広大な荷室を得るか、あるいは広々とした足元空間を得るかという選択を可能にし、「何だかんだで軽自動車は足元が狭い」というイメージを完全に吹き飛ばしました。

コラムシフト採用で前後席ウオークスルーも可能でしたが、天井が高いことによって、それがさらに容易になっていたのも特徴です。

開口部を広大にしたミラクルスペースドア採用の2代目

タントの高評価を決定的にする装備を採用したのが2代目で、それがミラクルスペースドア。
単なる片側スライドドアというだけでなく、Bピラーをスライドドアに内蔵してしまうことで、助手席側の前後ドアを開けた場合の広い開口部は、ミニバンの大型スライドドアですら得られないものでした。

乗降や荷物を乗せる時に後部ドアの付け根やBピラーという障害が全く無く、さらにスライドドアで乗降時に歩道ギリギリまで寄せてもドアを開けないということもない、という特徴は、ファミリー層にとってライバル車にはありえない使い勝手を提供しています。

上級グレードでは電動パワースライドドアを採用していたので、まさに軽自動車を超えたクラスレスの便利さを誇るとともに、一部グレードではフローリングの床を軽自動車として初採用、広いだけでなく「部屋」がそのまま走るような車でした。

より広く、より安全にを追求した3代目

3代目ではスライドドアを両側に採用、狭い駐車場などでの乗降性は飛躍的に向上させるとともに、助手席のスライド量を拡大したことで、後席スライドを組み合わせればA型ベビーカーを畳まず積めるという、ファミリー層には何とも嬉しい新機能を採用。

その際の助手席リクライニングやスライド操作を、助手席以外のあらゆるところから操作可能な助手席シートバックレバーは、地味ながら軽自動車で初採用の便利な装備です。

安全面でも衝突被害軽減ブレーキ「スマートアシスト」が装備され、そのセンサーを生かした車線逸脱警報や対歩行者回避支援機能など、センサーの発展とともに段階的に強化されています。

また、2016年11月の一部改良からは、ダイハツ車としては初めて、対向車が来ると自動でロービームに戻し、普段はハイビームで走る「オートハイビーム」が設定されました。

タントの派生車種

タントには標準モデルとアグレッシブデザインのカスタム、2種のデザインが標準モデルから3代目まで常に設定されてきましたが、それとは別に派生モデルも存在しました。

あえてヒンジドアを復活させた乗り心地重視の上級版、タントエグゼ(2009-2014)

2007年登場の2代目から、広大な開口部を誇るビルトインピラー式スライドドア「ミラクルオープンドア」を採用したタントですが、2009年にはあえてスライドドアを持たないタントエグゼが派生モデルとして登場しました。

スライドドアを持たないだけでなく、座り心地より車内空間確保やシートアレンジを重視していたシートから、座り心地重視のシートに変更した「上級志向タント」で、タント同様に通常版とカスタム版、2つのデザインがあります。

スライドドアからヒンジドアに戻したことで軽量化されて燃費が向上するという副次的効果もありましたが、天井の高さを除けばムーヴと使い勝手の面で変わらないため販売面でふるわず、1代限りのモデルとなりました。

なお、軽自動車の独自生産を終了したスバル向けに「スバル ルクラ」(2010年4月登場)としてOEM販売されましたが、タントエグゼの生産終了にともない2015年に販売終了、2016年12月以降はタントが「スバル シフォン」としてOEM販売されています。

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