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マツダロードスター とても古くて新しい、進化し続けるライトウェイトスポーツ

ロードスター 査定

1990年代の国産スポーツ黄金期を過ぎて以降世の車はほとんどミニバンかSUVか軽自動車になってしまったかのような印象で、たまにスポーツカーがあったとしてもスーパーカー級の価格でとても買えない!という車ばかり。しかし、思い出してください。私たちには、手頃な価格とサイズでいつでも買えるライトウェイトスポーツカー、マツダ ロードスターがあります。

目次

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各代の概要と時代背景

総合概要:世界を変え、そしてたゆまず作り続けられるライトウェイト・スポーツ

1989年5月、北米を皮切りにMX-5マツダ・ミアータ(日本名:ユーノス・ロードスター)が発売された時、世界はライトウェイト・オープンスポーツを忘れ去ろうとしていました。

古くはMG、戦後はロータス・エランなどブリティッシュ・スポーツが得意としていた小型軽量安価なオープンスポーツカーは、衝突安全基準や排ガス規制の厳格化、オイルショック後の低燃費志向といった世界的な流れでほぼ絶滅していたのです。

もちろん、ケータハム(ロータス)・スーパーセブンのように、レーシングカーのごとく実用性を無視した、特殊なスポーツカーはいつでもありました。しかし、誰が使ってもそう不便はなく、車両価格も維持費も安い量産スポーツカーなどもうしばらく新型車を目にしていなかった評論家や専門家は、マツダの新型スポーツカーに対して冷淡だったのです。

『しょせんはエランの物真似』と冷笑され、『マツダなのにロータリーを積まないのか』と皮肉られ、カタログスペックだけ見ればさほどパワフルでもないエンジンの陰で、軽量なボディや本格的な4輪ダブルウィッシュボーン式独立懸架サスは見逃されました。

しかし、発売されるやこれが売れたのです!

要するにユーザーの「こんな車があれば買うのに」という声を無視していただけという事実は、後にマツダ・ロードスター、海外ではMX-5の名で統一されるこのオープンスポーツが飛ぶように売れたことで証明され、世界中の自動車メーカーを慌てさせました。

その結果、世界中の自動車メーカーでライトウェイト・オープンスポーツやそれに準ずる新型車が登場し、ロードスターを追撃。そのほとんどは、ポルシェ・ボクスターやBMW・Z4といった高級スポーツしか生き残らずに一過性のブームで終わりましたが、マツダはひたすら代を重ねてロードスターを作り続けました。

マツダが1990年代はじめのバブル崩壊で経営に深刻なダメージを受け、存続が危ぶまれた時も、そこから立ち直った時も、そしてロータリースポーツのRX-7やRX-8の生産が終わってからも、国産車からFRでMTを駆使する『操る車がなくなった』と言われた時期も。
世の車が代を重ねるごとに大きく重くなっていったとて、全く関りがないかのように、パワーはそこそこでも操る楽しみにあふれ、安価なスポーツとしてロードスターはずっとそこにいました。さらには、スーパーカー級のスペックを持たない国産車では唯一、メーカー自らが古くなった初代モデルの純正部品供給再開や、レストアメニューまで始めたのです。

マツダ・ロードスターは、ただ代を重ね長く売られ続けているだけの車ではありません。
『スポーツカーという文化』の灯を、初代発売以来1日とて休まず守り続ける、『自動車文化の守護者』の1台たる、実に偉大な車なのです。

伝説の始まりと画期的なリブートで歴史に名を遺す初代『NA』(1989-1998)

1989年5月に北米で『マツダ・MX-5ミアータ』として、同9月に日本では『ユーノス・ロードスター』として発売。2代目まで海外では『ミアータ』のサブネームがついていたので今でもミアータと呼ぶ人がいる一方、日本でも最初は『ユーノス』と呼ぶ人が多いものでした。

ユーノスとは日本ではあまり聞き慣れませんが、マツダがバブル時代にブランドを拡大してそれぞれにディーラー網を整備する5チャンネル体制(マツダ・ユーノス・オートラマ・アンフィニ・オートザム)を開始し、ユーノス店の1号車だったことに由来します。

結局この5チャンネル体制はうまくいかず、2代目以降は単にマツダ・ロードスターとなりますが、簡潔な車名で車体形状を表す意味でもあることから、通常は型式から『NA~ND』で呼ばれることが多いのです。

ロングノーズ・ショートデッキ2シーターでFR(フロントエンジン・後輪駆動)の古典的スポーツカー、しかもヘッドランプにリトラクタブルライトを採用したことから、1960年代に発売されたイギリスのスポーツカー『ロータス・エラン』の模倣と当初指摘されました。

しかし、実際には車体各部の内外装デザインは日本の伝統文化『能面』や『両替商の分銅』、『茶室』といったキーワードを取り込んでおり、古のスポーツカーとは似て異なるデザインは見れば見るほど味わい深さを感じて、時代を超越した美しさがあります。リアコンビネーションランプなど、デザインも機能性も素晴らしいとニューヨーク近代美術館に永久収蔵されるという非常に高い評価を受けました。

走行性能は徹底した走り込みによる『味付け』がなされ、後に主査となるサスペンション開発担当者がテストコースで刺さるほどのテストを繰り返した末、4輪ダブルウィッシュボーン独立懸架とフロントミッドシップによる高いコントロール性を売りとしています。

エンジンはファミリア用の1.6リッター、後に1.8リッターのDOHC自然吸気エンジンで、既に可変バルブ機構を持ちリッター100馬力オーバーの高回転自然吸気エンジンが登場していた中では、エンジンスペックだけでは見るべきところはありません。

しかし、『走る、曲がる、止まる』のバランスが高次元で保たれ、ドリフトコントロールさえ容易な操縦性の高さは腕を極めた時の『速さ』だけでなく『楽しさ』も保障するものであり、幌を外せばフルオープンが可能な開放感と共に所有する喜びにあふれた車でした。

9年間の販売期間では大きく分けて、以下の3シリーズに分かれます。

NA6C:1.6リッター仕様で最軽量の初期型。
NA8Cシリーズ1:1.8リッターに排気量拡大し、モアパワーに応えた中期型。
NA8Cシリーズ2:変更したエンジンとミッションのミスマッチ改善のためギア比を変更、加速力を改善してバランスを再調整した後期型。

単なるオープンスポーツカーというだけでなく、古典的ブリティッシュ・スポーツ風を極める本革シートや本革ステアリング仕様などの特別仕様車が数多くラインナップされました。

なお、販売終了から20年が経過して一般ユーザーによる純正部品調達が困難になるなど、維持に問題が生じる声が多く上がったことから、2017年以降にマツダ自ら純正部品の再供給や、レストアプロジェクトが開始されています。

国産車でも日産・スカイラインGT-R(BNR32以降)やホンダ・NSX(初代)などスーパーカー級のモデルでは前例がありますが、スポーツカーとはいえ安価な量産モデルを国産車メーカー自らが手掛けるレストアメニューは初めての試みであり、今後に要注目です。

こうした純正レストアなどを通して『自動車文化を大切にする試み』は、今後他の国産車メーカーにもよい刺激を与えるものと期待されます。

(代表スペックと中古車相場)
ユーノス(マツダ) NA6CE ロードスター 1989年式
全長×全幅×全高(mm):3,970×1,675×1,235
ホイールベース(mm):2,265
車重(kg):940
エンジン:B6-ZE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,597cc
最高出力:88kw(120ps) / 6,500rpm
最大トルク:137N・m(14.0kgm) / 5,500rpm
10モード燃費:12.2km/L
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F・R)ダブルウィッシュボーン
中古車相場:28万~309万円(車両本体価格・2020年8月現在)

マツダの苦境を乗り越えロードスター・リボーン!2代目『NB』(1998-2005)

1998年1月、『ロードスター・リボーン』というCMキャッチコピーとともに2代目へとモデルチェンジ。

基本的には初代『NA』のキープコンセプトでより完成度を高めた決定版と言えて、この代からリアウィンドウがビニールからガラスになったソフトトップ(幌)など、寸法が同じなため初代『NA』にも流用できるパーツがあります。

ただしデザインは大幅に変わっており、歩行者衝突時の被害低減、旋回時に重量物をボディ先端に置くことによる操縦性への影響を考慮してリトラクタブルライトが廃止され、通常の固定式ヘッドランプへ変更。

ボディラインも大幅に異なり、トランク容量確保のためシート後方へハードトップを収納可能となって、トランク部もグラマラスと言ってよいボリューム感を手に入れたため、幌と脱着式ハードトップ以外の外装はドアミラーも含め初代『NA』と互換性がありません。

走行性能面もサスペンションジオメトリー変更および各部補強と並行した徹底的な軽量化が行われ、ボディ剛性アップと重量軽減策を両立して見た目以上に操縦性は向上、まさに『第1世代ロードスター決定版』にふさわしい走りを手に入れています。

エンジンは先代中期以降で廃止されていた1.6リッターエンジンが復活し、1.6リッター車には5速MTが、1.8リッター車には6速MTが組み合わせられました。

2000年のマイナーチェンジではインパネやメーターのデザイン変更のほか、シート軽量化やサイドシル剛性アップで、さらに走りの質感を高め、モデル後半には初のクローズドボディ車『ロードスタークーペ(2003年10月)』、初のターボ車『ロードスターターボ(同12月)』も追加するなど、実験的なモデルが存在したのも特徴。

外観が初代『NA』よりシンプルになって魅力を減じたと感じるユーザーも少なくなかったため、人気は今ひとつだった『NB』ですが、純粋な走りの面では『NA』を上回ることから、スポーツ走行を重視するユーザーからの人気が再燃中です。

(代表スペックと中古車相場)
マツダ NB6CE ロードスター 1998年式
全長×全幅×全高(mm):3,955×1,680×1,235
ホイールベース(mm):2,265
車重(kg):1,010
エンジン:B6-ZE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,597cc
最高出力:92kw(125ps) / 6,500rpm
最大トルク:142N・m(14.5kgm) / 5,000rpm
10・15モード燃費:14.8km/L
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F・R)ダブルウィッシュボーン
中古車相場:10万~319.8万円(クーペ、ターボ含む車両本体価格・2020年8月現在)

初の完全リニューアルで3ナンバーボディへ、3代目『NC』(2005-2015)

2005年8月にモデルチェンジを受けて3代目『NC』へ移行、先代『NB』が先々代『NA』を熟成した決定版だったのに対し、『NC』ではプラットフォームやエンジン、サスペンション全てを一新したという意味で初の完全フルモデルチェンジとなりました。

基本的に小型軽量オープンスポーツというスタンスに変化はないのですが、新型プラットフォーム採用にあたり、初代『NA』の頃のように3ナンバー車に高額な自動車税が課せられる税制が改められて久しいため、走行性能向上のため3ナンバー化。

さらにエンジンも日本および北米仕様ではアテンザやアクセラと同じ2リッターDOHCエンジンが搭載され、車重増加は最低限に抑え、歴代最高のパワーウェイトレシオとなっています。

デザインも様変わりして当時のマツダ車が採用していたデザインアイデンティティに沿ったフロントマスクを採用しつつ、前後に直線的に突き抜けるようなボディライン、オーバーフェンダーで、それまでにないたくましさを感じさせました。

ドライバー後方のシートバックバー、左右2本出しマフラーなどもそれまでのロードスターの印象を大きく変えるもので、安価な量産ライトウェイト・オープンスポーツとしては限界ギリギリのサイズと迫力を備えていたと言えます。

なお、前述の通りエンジンは2リッターDOHC1種類に統一されましたが、ミッションは5速MTと6速MT2種類があり、オートマは先代までの4速ATからグレードによってはパドルシフトも備えた6速ATへと大幅に進化。サスペンションも先代までの4輪ダブルウィッシュボーンから、リアはマルチリンクに変更されています。

また、歴代初の電動ハードトップを搭載した『ロードスターRHT』を2006年8月に追加。
日本的な感覚では3ナンバー化と2リッターエンジンへの拡大で、パワフルになった代わり大きく重く(鈍く)なったような印象もある『NC』ですが、国際的には歓迎されて引き続き人気を誇り、2011年には初代からの累計生産台数90万台を達成してギネス記録を更新しました。

(代表スペックと中古車相場)
マツダ NCEC ロードスター 2005年式
全長×全幅×全高(mm):3,995×1,720×1,245
ホイールベース(mm):2,330
車重(kg):1,090
エンジン:LF-VE 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,998cc
最高出力:125kw(170ps) / 6,700rpm
最大トルク:189N・m(19.3kgm) / 5,000rpm
10・15モード燃費:13.4km/L
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:5MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)マルチリンク
中古車相場:34.8万~238万円(RHT含む車両本体価格・2020年8月現在)

原点回帰の古くて新しいSKYACTIVロードスター、4代目『ND』(2015-)

10年もの長いモデルライフを誇った『NC』から、2015年5月に4代目『ND』へとモデルチェンジ、10年間の間にマツダ車は大きく様変わりしており、ロードスターもマツダ自慢の『SKYACTIV』テクノロジーと『魂動(こどう)』デザインで完全新設計されました。

全長を短縮した軽量&高剛性ボディに、バルクヘッドを車内側に大きく食い込ませるほど後方に下げたフロントミッドシップに『SKYAKTIV-G』1.5リッターガソリンエンジン(北米仕様は2リッター)を搭載。

オーバーハングはさほど短くせず全長短縮分は前後オーバーハング短縮に回し、新設計の6速MT、改良された6速ATによって操縦性向上をさらに極め、アイドリングストップやエネルギー回生システム、衝突被害軽減ブレーキなど電子制御デバイスも多数詰め込みました。

さらに先代のロードスターRHT後継として、電動収納式タルガトップを持つ『ロードスターRF』を2016年12月に発売。

この『ND』の頃には初代『NA』の大ヒットを見てオープンスポーツへ参入した各社から同ジャンルの車種がほとんど消えており、フィアットから協業の申し出を受けて、『ND』をベースにフィアット124スパイダーと高性能版アバルト124スパイダーが生まれました。

単に初代『NA』以来々コンセプトを作り続けるだけでなく、時代の要請に応じた排ガスや燃費など環境性能、安全運転支援パッケージの搭載など最新装備をしっかり盛り込んでおり、古典的レイアウトながら中身は最新技術を駆使したスポーツカーとなっています。

なお、2016年4月22日には累計生産台数が100万台に到達、『2人乗り小型オープンスポーツカー生産累計世界一』の記録を、今も更新中です。

(代表スペックと中古車相場)
マツダ ND5RC ロードスター S 2018年式
全長×全幅×全高(mm):3,915×1,735×1,235
ホイールベース(mm):2,310
車重(kg):990
エンジン:P5-VP 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
排気量:1,496cc
最高出力:97kw(132ps) / 7,000rpm
最大トルク:152N・m(15.5kgm) / 4,500rpm
WLTCモード燃費:16.8km/L
乗車定員:2人
駆動方式:FR
ミッション:6MT
サスペンション形式:(F)ダブルウィッシュボーン・(R)マルチリンク
中古車相場:138万~339.5万円(RF含む車両本体価格・2020年8月現在)

各代の新装備

初代『NA』

そのパッケージングやコンセプト、デザインに高い評価が与えられている初代『NA』ですが、既にRX-7(当時は2代目FC3S)を販売していたマツダにとっては2台目のFRスポーツであり、新しい『ユーノス店』のイメージリーダーとはいえ安く短期間の開発が求められました。

そのため、極力既存のパーツや技術を使っていた(たとえばエンジンはファミリアからの流用)ので、『新装備』という観点からはそれほど多くはありません。

ただ、走りの面ではもちろん妥協せず、4輪ダブルウィッシュボーン式独立懸架サスペンションや、フロントのミッションケースとリアのデフケースを結合して剛性を高める『パワープラントフレーム』は、FD3S型RX-7(1991年発売)に先んじて初採用。

1992年7月に追加された『Sスペシャル』ではビルシュタイン製ダンパーがロードスターとして初採用されました。

後期型となるNA8Cシリーズ2では、車重増加とファイナルギアのギア比変更で加速力低下したシリーズ1のネガティブを払拭すべく、ファイナルギアを戻すとともにエンジンECUを8bitから16bit化して高回転域での燃焼制御を最適化し、トルクアップしています。

2代目『NB』

『NB』では1.8リッター車に6速MTが初採用されたほか、2000年7月の改良以降は1.8リッターエンジンそのものも可変吸気システムのBP-ZEから可変バルブ機構S-VTに変更したBP-VEへ変更されています。

また、初代『NA』で経年劣化による視界悪化が問題となっていた幌のビニール製リアウィンドウがガラス製に変更され、外してしまうと置き場所に困った脱着式ハードトップもリアシート後方に格納して、トランクルームを常時フルに使えるようになりました。

3代目『NC』

初の完全新設計フルモデルチェンジとなった3代目『NC』では随所が変更されており、たとえば幌の収納ひとつとっても、『Zタイプ』と呼ばれるZ状フレームで収納時には幌の上面外側を上に綺麗に収まるなどの改良が施されました。

ステアリングチルト機構やスペアタイヤの代わりのパンク修理キット、一部グレードへタワーバーやフロア補強メンバーが標準装備されているのも、この代で初めての装備です。

また、地味な改良ながらサイドブレーキレバーが右ハンドル仕様でも運転席側になるよう配置され、スポーツ走行時のサイドブレーキ操作が容易になったという違いもあります。

さらに2008年12月のマイナーチェンジでは、ディスチャージヘッドランプとオートエアコンが全車標準装備。

2012年7月の改良では、歩行者への衝突時にボンネット後端を瞬時に持ち上げ、倒れこむ歩行者の頭部を硬いエンジンに激突させないよう保護するアクティブボンネットを標準装備し、これは次期型『ND』にも引き継がれています。

4代目『ND』

マツダがSKYACTIVテクノロジーを大々的に採用してから初のモデルチェンジとなった4代目『ND』では、以下のSKYACTIVテクノロジー新装備が搭載されました。

・SKYACTIV-Gガソリンエンジン:通常版が1.5リッター、RFが2リッター
・SKYACTIV-MT:小型軽量化を図り6速直結とした新型6速MT
・ドライブセレクション:6速ATのダイレクト感を上げシフトダウン時のブリッピング機能などを追加
・電動パワステ:マツダ車初のデュアルプニオンタイプ
・i-stop:アイドリングストップ機構(AT車のみ)
・i-ELOOP:減速エネルギー回生システム(AT車に標準装備、MT車の一部にオプション)
・i-ACTIVSENCE:安全運転支援パッケージ
・ブラインド・スポット・モニタリングシステム:車線変更時後側方監視・警報システム
・ハイ・ビーム・コントロールシステム:オートハイビーム
・LDWS:車線逸脱警報システム
・アダプティブ・フロントライティング・システム:カーブ形状を予測してその先を自動照射
・リア・クロス・トラフィック・アラート:後退時車両検知・警告システム
・アドバンストSCBS:衝突被害軽減ブレーキ(2018年6月以降)
・SCBS R:後退時衝突被害軽減ブレーキ(2018年6月以降)

これらは『Sレザーパッケージ』に全て標準装備のほか、各グレードに標準またはオプションで装備されます。

さらに2015年10月に追加された最上級グレード『RS』には、吸気音をあえて車内に取り込み、エンジン音を気持ちよく響かせる『インダクションサウンドエンハンサー』が装備されました。

派生型

M2 1001(初代NAベース)

マツダ車により付加価値を追加する商品企画を目的としていたマツダ関連会社『M2』(現存せず)の企画した初のロードスターベース車で、300台限定です。

フロントノーズにシビエ製フォグランプが埋め込まれてタイヤホイールも15インチ化されたほか、内装もアルミ製4点式ロールバーや専用バケットシート(代わりにセンターコンソールレス)などでカスタマイズ。エンジンは専用のピストンやカムシャフトが組み込まれて、最高出力は10馬力アップしていました。

M2 1002(初代NAベース)

走りに振った1001とは異なり、『大人のためのスポーツカー』をコンセプトにアイボリーの専用本革シートをはじめ内装下半分はアイボリー色で統一、本木目張りのセンターパネルなどでドレスアップした豪華内装仕様でした。

300台限定予定でしたが100台で受注は終了、1001と1002は東京都世田谷区砧(きぬた)にあったM2本社ビルへ訪問しての注文と納車のみ受け付けている、異色の販売方法も特徴です。

M2 1028(初代NAベース)

1001、1002と異なり、限定300台ながら全国のディーラーで購入可能で、ホイールやトーイングフック、ハードトップが軽量化された専用品で、トランクリッドもダックテール状の専用品。アルミ製10点式ロールバーのほか、1001以上の専用パーツが組み込まれてエンジンも最高出力が10馬力向上していました。

光岡・ゼロワン(初代NAパワートレーン流用)

光岡自動車が自動車メーカーとして認められた第1号の車で、ニア・セブンと呼ばれる『ケータハム(ロータス)・スーパー7』と酷似したボディに、『NA』ロードスターのパワーユニットを搭載しており、広義でのロードスター派生車といえます。

ロードスタークーペ(2代目NBベース)

マツダ車の特装車やショーカー製作を手掛けるマツダE&Tで改造を受ける受注生産車で、2003年10月発売。

単にクローズドボディのクーペ化しただけではなく、グレードによっては専用フロントマスクやオーバーフェンダーによりかなり濃い外観となっていたほか、『ロードスタークーペ』という矛盾した車名でも話題になりました。

ロードスターターボ(2代目NBベース)

ロードスタークーペに続く実験的モデルで2003年12月に限定350台を発売。

最高出力160馬力・最大トルク17.3kgmの1.8リッターエンジンBP-VEに対し、インタークーラーターボ化により172馬力・21.3kgmを発揮するBP-ZETを搭載。

それに合わせてボディ補強や駆動系の強化が行われていますが、スペック面から考える限り、ハイパワーターボというより2リッター自然吸気エンジン車並のパワーを1.8リッター車で得るダウンサイジングターボ的な性格だったようです。

ロードスターRHT(3代目NCベース)

ロードスター初の電動格納式ハードトップで、2006年8月に発売され正式名称は『ロードスター パワーリトラクタブルハードトップ』。収納場所は『NB』の脱着式ハードトップと同じくリアシート後方のため、トランク容量は圧迫しないのと、開閉速度約12秒は当時世界最速だったのも特徴です。

後のRFと異なり、脱着式ハードトップを電動格納式にしたようなもので、トップを格納すればフルオープンになりました。

当初はソフトトップに近いグレード構成でしたが、2008年12月のマイナーチェンジでグレード整理され、RS以外はAT車のみになっています(同時にソフトトップ車はMTのみへ)。

ロードスター マツダスピードM’z Tune(3代目NCベース)

『NC』の最上級グレード『RS』の6速MTソフトトップ車をベースにしたコンプリートカーで、マツダスピードの名を冠していますが、既に組織としてのマツダスピードは1999年にマツダ本体へ吸収・消滅しており、架装はマツダE&Tで行いました。

とはいえ内容は本格的で、内外装に専用装備を施したほか、ビルシュタイン製ショックアブソーバーやブレーキパッド、マフラー、フライホイールなど専用品が多数で、ECUも低回転から中回転域への伸び感を向上させた専用品です。

ロードスターRF(4代目NDベース)

3代目『NC』のRHT後継として、4代目『ND』へ2016年12月に追加発売された電動トップモデルで、RFは『リトラクタブル ファストバック』の略。その名の通り基本的にはルーフからテールまでなだらかな傾斜を描くファストバッククーペで、ルーフのみが電動格納式で、RHTと異なりフルオープンとはならない、言い方を変えれば電動タルガトップ車です。

ソフトトップ車と異なり北米仕様の2リッターエンジンを搭載しており、低速トルクはあるのでゆったりクルージングするには最適でしたが、スポーツカーとしては物足りないという声もあり、2018年6月に最高出力・最大トルクをアップして全域トルクアップされました。

改良後は最高出力184馬力(26馬力向上)、20.9kgm(0.5kgm向上)しており、これまで数が少なかったモータースポーツでの参戦台数増加が予想されるほか、ソフトトップ版へこのエンジンを搭載する要望も増えています。

フィアット124スパイダー / アバルト124スパイダー(4代目NDベース)

堅実に小型FRスポーツを作り続けてきたマツダにFCA(フィアット・クライスラー)が協業を呼びかけ、往年の名車フィアット124スパイダーを『ND』ベースで復活させたもの。当初アルファロメオからのデビュー(その際はアルファロメオ・スパイダー名だったはず)予定でしたが、FCAの販売戦略変更でフィアット124リメイクとなりました。

内外装が『ND』と大きく異なるほか、エンジンもフィアット『マルチエア』1.4リッター直列4気筒ターボを搭載しており、日本市場では高性能版のアバルト124スパイダーのみが正規販売されています。

光岡・ヒミコ(3代目NC / 4代目NDベース)

既存車をベースにクラシックカー架装を施したカスタムカー製作が得意な光岡自動車による、ロードスターベースのクラシック・カスタムカーがヒミコです。

かつて日産・シルビアをベースとしたラ・セードと同じく、ホイールベース延長&フロントオーバーハング短縮により、ベース車とはかなり異なる趣きになっています(ただしルーフを閉じるとロードスターそのまま)。

3代目『NC』ロードスターRHTをベースとした初代(2008年12月発売)と、4代目『ND』のソフトトップ版をベースとした2代目(2018年2月発売)が存在し、2代目は現在も販売中です。

光岡・ロックスター(4代目NDベース)

4代目NDの1.5L自然吸気エンジン車をベースに、光岡自動車が1960年代のC2型シボレー・コルベット風ボディを架装したモデルで、200台限定。

モチーフとしたC2コルベットはリトラクタブルライトでしたが、保安基準が全く異なる時代に生まれたロックスターはノーズ先端左右に固定式ヘッドライトとしたものの、十分にコルベット風で魅力的。

2018年11月に発売されましたが2019年2月には完売、ハンドメイドのため生産には時間がかかり、2019年に50台、2020年と2021年に75台ずつ生産されて注文したユーザーへデリバリーされます。

ワンメイクレースは世界規模、かつてはJGTCでも活躍し、現在は全日本ジムカーナで主力

スポーツカーだけにモータースポーツの随所で活躍するロードスターですが、小型小排気量2シータースポーツは結局マツダが地道にロードスターを作り続けているのみ、定着するライバルもいないことから、メジャーレースへの参戦歴はあまり多くはありません。

初代『NA』に13Bロータリーターボを搭載した『科芸専(科学芸術専門学校)ロードスター』がJGTC(全日本GT選手権。現在のスーパーGT)のGT300クラスに参戦していたほか、3代目『NC』がロードスター25周年を記念し、2014年にニュルブルクリンク24時間レースに参戦したくらい。

ただ、国内外のワンメイクレースはメジャーなものからローカルイベントまで盛んに開催されており、メジャーなものでは各国の国内選手権で勝ち抜いたドライバーが世界一決定戦で戦う『MX-5カップ(日本でも開催)があります。

ローカルイベントの中では、日本のモータースポーツ関連メディアが初代『NA』発売以来毎年筑波サーキットで戦う『メディア対抗ロードスター4時間耐久レース』が有名どころです。

レース以外では、ドリフトやジムカーナのような舗装競技で古くから参戦が見られていますが同排気量ではパワー面で不利な要素が多く、パワフルなエンジンに換装した改造車や、近年は競技規則に適合したジムカーナ競技での活躍が目立ちます。

ドリフトではD1グランプリでトヨタ・KP61スターレットやダイハツ・シャルマン(2台目)を走らせていた岩井 照宜選手が『NA』ロードスターに500馬力を発揮するフルチューン13Bロータリーターボを搭載して2016年から活躍。

全日本ジムカーナでは、2015年に1.5リッターの『ND』が登場してから、1.6リッター未満のFF・FR車が参戦できるPN1クラスへの参戦が増え、それまで主力だった1.6リッターFFのスズキ・ZC32スイフトスポーツを駆逐してワンメイク状態です。

それのみならず、2リッター以上のFF・FR車が参戦できるPN2クラスでは『ND』ベースのアバルト124スパイダーが活躍、1.6~2リッターのFR車が参戦できるPN3クラスでも『ND』のロードスターRFが活躍中。

改造制限の多いナンバー付きのPN車両で戦われる全日本ジムカーナでは『NDロードスター』系の車両が主に4WD向けのPN4を含む全クラスで活躍しており、ロードスターRFがマイナーチェンジで出力向上したことで、ますます台数が増えそうです。

FR車に限らず、マニュアルトランスミッションが設定され、電気式ではなく機械式サイドブレーキの新型車が減っている現在、ロードスターはナンバーつきのままでモータースポーツを楽しめる貴重な車の1台になっています。

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