ステップワゴン 買取相場
モデルチェンジでコンセプトを一新してから苦戦気味の5代目ホンダ・ステップワゴンですが、そもそもは日本でFFハイルーフミニバンを広めた先駆者でもありました。現在もVTECターボに「わくわくゲート」、ハイブリッドの追加などテコ入れで追い上げを図る5代目ステップワゴンの、買取相場での評価やいかに?
コンセプト一新で勝負に出た5代目ステップワゴン、未だ進化中
かつて1BOXタイプのハイルーフミニバンといえば、FRベースの駆動方式で高床の商用1BOX車をベースとするのが当たり前。1970年代末期の初期RVブームから商用1BOX車に乗用車並の内外装を与えた1BOXミニバンが増えており、1990年代に入ってもその状況は変わりませんでした。
しかしその中で唯一、FF車ばかり作っていたのでそもそもキャブオーバー型FRの1BOX商用車など作っていなかったのがホンダで、販売現場から「ウチでもハイエースのような車を作ってくれ」と言われていたものの、ない袖は振れません。
そもそも生産設備がハイルーフ車に対応していなかったのを逆手に取って、まずは1994年にアコードベースでロールーフのスポーティミニバン「オデッセイ」(初代)を発売してヒット作となりますが、本命となる量販ミニバンはその後に控えていました。
1970年代にFF軽乗用車「ライフ」(初代)をベースとして1BOX軽商用車「ステップバン」を販売した過去があるホンダは、今度はシビック系のプラットフォームとエンジンを使った2リッターハイルーフミニバンを開発、1996年5月に初代「ステップワゴン」として発売したのです。
FF乗用車ベースなので従来の商用1BOX車ベースのミニバンより低床で居住性や快適性は高く、サイドパネルをほぼ垂直に立てた箱型ボディはスペース効率も最高で、2列シート5人乗り、または3列シート8人乗りのステップワゴンは大ヒット作となって飛ぶように売れ、ライバル他社も日産・セレナ(2代目以降)やトヨタ・ノア/ヴォクシーなどで追従。
しかし先発の優位で一時期のステップワゴンはミニバンの定番車種となり、ロールーフミニバンのオデッセイ、クロスオーバーSUVの傑作CR-V(初代)とともに、「スポーツのホンダ」から「RV王国ホンダ」へと大転換に成功しました。
それ以降も代を重ねつつ「最高のスペース効率を追求した2リッターハイルーフミニバンのヒット作」として君臨してきたステップワゴンですが、2015年4月に発売された5代目でコンセプトの転換を図ります。
すなわち、2+3+3の3列シート8人乗りから2列目をキャプテンシート(独立シート)とした、2+2+3の7人乗りとして、テールゲートは上開きにも、左半分だけを横にも開閉できる「わくわくゲート」を採用。エンジンも長らく採用してきた2リッター自然吸気から1.5リッターVTECターボへ変更し、ダウンサイジングターボ化したのです。
しかし、乗車定員が減った代わりに3列目までのウォークスルーが容易になり、さらに3列目も片側を畳んで1人乗り(最大5人乗車)に割り切れば横開きテールゲートからのアクセスも容易になる「わくわくゲート」のメリットがユーザーの理解を得られず、後に通常のテールゲートも選択可能なように変更(2020年1月)。
1.5リッターVTECターボも、走りはともかく経済性を重視するユーザーから「なんでハイブリッドじゃなくターボなの?」と、これまた理解を得られず、2017年9月のマイナーチェンジでようやくフルハイブリッドシステム「i-MMD」を追加(2020年1月以降は「e:HEV」へシステム名称変更)しますが、それまでの販売実績は大苦戦でした。
しかもコンパクトにまとめすぎたボディサイズが災いし、フルハイブリッドは当初純正カスタムモデルの「スパーダ」のみで、通常モデルへはエアログレードの「モデューロX」へ搭載(2018年12月)するまで設定できませんでした。
しかしライバル車がいずれもフルハイブリッド車を設定済みな中、発売数年後のハイブリッド追加では時すでに遅く、矢継ぎ早のテコ入れでイメージチェンジを図っているものの、本格的なシェア奪還は次期型へ持ち越した形です。
とはいえ、さすが人気ジャンルのハイルーフミニバンなだけあって、中古車市場や買取市場での評価はそうそう悪いわけではありません。
5代目ステップワゴン・中古車販売価格の相場と流通台数は?
まずは純ガソリン車とハイブリッド車それぞれの、中古車販売価格の相場と流通台数を見てみましょう(2020年5月現在)。
【5代目ステップワゴン(2015.4-)】※モデューロX含む
修復歴なし:64~339.8万円・415台
修復歴あり:109.9~239.8万円:15台
【5代目ステップワゴンハイブリッドモデューロX(2018.12-)】
修復歴なし:345.9万円・1台
修復歴あり:なし
【5代目ステップワゴンスパーダ中古車価格(2015.4-)】
修復歴なし:128~345万円・1,399台
修復歴あり:135~267.8万円・52台
【5代目ステップワゴンスパーダハイブリッド(2017.9-)】
修復歴なし:208.9~374.7万円・230台
修復歴あり:219.9~289万円・79台
通常モデルと純正カスタムモデル双方をラインナップしている車種の例に漏れず、ステップワゴンも「スパーダ」の方が人気が高いようでタマ数、中古車価格ともに上回っていますが、通常モデルもエアログレードの「モデューロX」登場で巻き返しています。
また、投入が遅れたとはいえハイブリッド車投入自体は好評だったようで中古車価格も高値推移で、タマ数がだいぶ増えてきました。
5代目ステップワゴン・買取価格の相場と、年式、グレードごとの傾向は?
買取相場ではどのように評価されているのでしょうか?これも大手買取専門業者のサイトで買取実績が確認されたものを、年式やグレードごとの評価と合わせて紹介します。
まずは年式ごとの平均買取価格と平均残価率です。
【5代目ステップワゴン(モデューロX含む純ガソリン車)】
2015年式:約112万円・約38%
2016年式:約121万円・約37%
2017年式:約153万円・約43%
2018年式:約164万円・約47%
2019年式:約208万円・約53%
総合:約152万円・約43%
【5代目ステップワゴンハイブリッド モデューロX】
買取実績なし
【5代目ステップワゴンスパーダ(純ガソリン車)】
2015年式:約132万円・約40%
2016年式:約146万円・約43%
2017年式:約160万円・約48%
2018年式:約175万円・約53%
2019年式:約193万円・約56%
2020年式:約172万円・約52%
総合:約163万円・約49%
【5代目ステップワゴンスパーダハイブリッド】
2017年式:約205万円・約54%
2018年式:約213万円・約55%
2019年式:約231万円・約55%
総合:約210万円・約55%
総じて初回車検(新規登録から3年)を迎える3年落ちまでの査定評価が高く、まだ3年落ちまでしかないスパーダハイブリッドの評価は際立っています。
3年落ちより古くなると価値の下落が急激で、走行用バッテリーの劣化が不安視されがちで純ガソリン車より価値を落としやすいハイブリッド車も今後は苦戦が予想されますが、それでも純ガソリン車のスパーダが5年落ちで平均残価率40%を維持しているのは立派なものです。
新車販売では苦戦している5代目ステップワゴンですが、中古車としての評価は販売上位にあるライバルに対し全く見劣りしないのが少々意外かもしれません。
続いてグレードごとの平均買取価格と平均残価率です。
【5代目ステップワゴン(モデューロX含む純ガソリン車)】
B系:買取実績なし
G系:約115万円・約38%
G・EX系:約122万円・約39%
モデューロX系:約169万円・約44%
【5代目ステップワゴンハイブリッド モデューロX】
買取実績なし
【5代目ステップワゴンスパーダ(純ガソリン車)】
スパーダ系:約154万円・約47%
スパーダクールスピリット系:約163万円・約47%
【5代目ステップワゴンスパーダハイブリッド】
スパーダハイブリッドB系:買取実績なし
スパーダハイブリッドG系:約201万円・約54%
スパーダハイブリッドG・EX系:約218万円・約55%
モデューロXを除く通常モデルとスパーダの数値が若干低いのは、ハイブリッド車がない4~5年落ちの少々古い車が混ざっているからですが、その中でもやはりスパーダの方が平均残価率は高く、リセールバリューに優れるのがわかります。
5代目ステップワゴンでリセールバリュー狙いならスパーダかモデューロX
数値の上ではスパーダハイブリッドの平均残価率が高くてリセールバリュー良好に見えますが、実は同年式(1~3年落ち)で比較すると、スパーダなら純ガソリン車でもハイブリッド車でも平均残価率は約55%前後で変わりません。
また、通常モデルでもエアログレードのモデューロXならば、エアロなし(約45%前後)より高い平均残価率50%前後をマークしており、新車価格は少々高くつくものの、売却時のリターンが大きくリセールバリューが高いのはスパーダとモデューロXで決まりでしょう。
ただし注意しなければいけないのはハイブリッド車で、エンジンは発電に徹するモーター単独走行・エンジン単独での高速巡航・エンジンへのモーターアシストと3モードを使い分けるホンダ独自の「e:HEV」(旧名「i-MMD」)は低速から高速までハイブリッド車のメリットを追求した評価の高いシステムですが、問題はバッテリーです。
ステップワゴンに限らず、ハイブリッド車は走行用バッテリーが経年劣化するとEV走行の航続距離やエンジンの燃費などハイブリッドシステムのメリットが低下するため、年式が古くなった時の価値下落は純ガソリン車より大きい傾向にあります。
2017年に初めてハイブリッド車が登場した5代目ステップワゴンではまだ中古車市場でも買取市場でも大きな影響は見られないものの、今後は他のハイブリッド車同様、あまり長く乗っているとリセールバリュー低下が著しいかもしれません。
新車で買って短いスパン、たとえば初回車検かせいぜい2回目の車検で乗り換える程度ならハイブリッド車でもリセールバリューは期待できますが、それ以上乗る事を想定している場合や、中古車で購入する場合は純ガソリン車の方がリセールバリューは期待できると考えられます。
※中古車販売価格や買取相場は2020年5月現在の金額です。
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