2回目の世界一周【5日目】アンボセリ国立公園

2回目の世界一周【5日目】アンボセリ国立公園

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サファリツアーに出発

5時起床、6:30にサファリツアーに出発。早朝は肌寒く、長袖が必要です。夜半と早朝は蚊の活動が活発になるのでインセクトシールドと虫よけは必須です。そんな中、人魚ちゃんが足を刺されました。ま、マラロン飲んでるから大丈夫でしょう。僕もマラリアの薬は飲みました。1錠で1週間の効き目なので、2錠処方してもらいました。

運転手は昨日の車に付いた砂埃をふき取って車内を掃除して待ってくれていました。他のツアーも同じ時間帯に出発するので、玄関口は人が多く、ツアーの車も数台ありました。窓が開いていると猿が中に入って物色しています。

ホテル内に現地人が、所々暇そうに立っているのですが、手にはパチンコを持っています。これは猿除けの道具らしいです。朝、ラウンジで熱いミルクで紅茶を煎れて飲みました。これが抜群に美味しかったです。

ヒンヤリした空気の中、車がゲートをすり抜けていくと、野生動物も目覚めているようで、草を食べています。昨日よりも雲が多く、キリマンジャロは見えません。朝の冷気が大地を湿らせて車が巻き上げる砂埃は少なかったです。

ゾウ

昨日行かなかった道を進むと、象の親子が木の枝をむしって食べています。近距離まで近づいたので物凄い迫力。エンジンを切ると、ミシミシと枝の折れる音とそれを食べる音だけが聞こえます。15分ほど象を見てホテルに引き返し、朝食。2時間の休憩を挟み、マサイ族に会いに行きます。

マサイ族に会う

サファリカーでゲートを出ると、マサイ族の男性が1人待っていて、運転手と何か話してから車に乗り込んで来ました。マサイ族の男性の名前はヘンドリー。会話は英語です。「これからオレたちマサイ族の村に行く。トータルで1時間くらいのツアーだ」とのこと。オフロードの道を10分ほどゆっくり走ると村に到着。

車を降り、ヘンドリーがマサイ族についてレクチャーしてくれました。女性は家事をし、男性は外に出て観光客の案内や食事の調達に行くそうです。マサイ族の移動手段は徒歩かロバに乗るかで、他の乗り物には乗らない。一夫多妻。

マサイ族は全員仕事を持たず、こうして観光客の相手をしている。「ママ」が手芸品を全部手作りしていて、それを売ってマサイ族全体の生計を立てている。写真・動画すべてOK。これから中を案内するが、一つ一つが予定されているのでオレに付いて来い。何か質問があればオレが窓口になって全部答える…など。

村はバラのような刺だらけの木の枝で囲まれていて、ライオンなどの猛獣が夜に入って来ないようにするためとのこと。敷地の中央に広場があり、放し飼いにしている羊、ロバ、牛などの家畜を戻すそうです。地面は糞だらけでハエが沢山飛んでいます。

その広場で横一列に並んだマサイ族の人たちが歓迎の歌とダンスを披露してくれました。女性は歌い、男性は足踏みと高く飛び上がります。物凄いジャンプ力です。男性の平均身長は180cmくらいだと思います。この身長でこのジャンプ力ならダンクシュートできそうですね。

マサイ族には医者はいないけれど、いろんな木を蒸したり煮たりして薬草のように使っているとのことで、実物を見せてくれました。次に火起こしの実演。広場から住居エリアに入ると、小さな子供がたくさんいます。家の中を見せてもらいました。電気はなく真っ暗。3つの窓があり、中で火を焚いてもその窓から煙が出ていくそうです。

ヘンドリーが「次はショッピングだ」と言って案内してくれたのが、地面にござを敷いて商品を並べてあるだけの所。それぞれのござの前には1人のマサイ族がいて、しきりに商品を勧めてきます。ヘンドリーに「いくら?」と聞いても「後で答える。欲しい商品を取ってオレに渡せ」とのこと。ヘンドリーが買物カゴなんだと思いました。

僕たちは勝手に見て回っていると、ヘンリーが「オレの言うことを聞け。オレに付いて順番に見ていけ。欲しい商品をオレに渡せ」とのことです。仕方ないので言う通り後を付いて歩き、1つずつ見て歩きます。しきりに「これはどうだ」と売りたがるので辟易。それでも6点ほど商品を選びショッピングの場所から離れます。

「で、いくらなの?」と聞くと、僕たちが選んだ商品の数を数え(6点)、ヘンドリーが自身の黒い腕に枝の切れ端で値段を書きます。値段交渉の場にはもう1人のマサイ族が来ました。で、僕にも「書け」と言います。ああ、なるほど、こうしてお互いの値段をすり合わせていくのか。腕に書けるのは多分、垢が削れて読み取れるんだと思います。最初にヘンドリーが書いた数字は「28000」。つまり2万8千シリング、2万8千円です。

「はぁ!??」日本だと2千円もしないと思います。そこで「1000」を書きました。ヘンドリーともう1人は「話にならない」という風に目を丸くして「聞け。これはママが作ったものだ。オレたちマサイ族は仕事を持たず、こうしてママがオレたちを養ってくれてるんだ。ここでの買物がオレたちマサイ族を助けることになる。高いのは分かるが買ってくれ」と言いました。「買ってくれ」ではなく「買え」というニュアンスが強い。「高すぎる」「買え」の押し問答。「払えるのは2000シリングまで。この値段ならいくつ?」と言うと「2つ選べ」とのこと。適当に2つ選んで2000シリング払い終了。

次に「学校」に行きました。掘っ立て小屋で、学校といっても国が運営しているわけではないとのことです。中に入ると子供が30人くらい席に座っていて、学校の現状の説明を受けました。「掘っ立て小屋だからペイントしたい。子供たちのために教材を買ってやりたい。善意の寄付をしてくれ」とのこと。また金か。「ショッピングで全部使ったのでない」と言い、学校を出ました。

次に井戸に案内され、マサイ族の水源だということです。これでマサイ族ツアーが終了し、サファリカーに戻る道中、ヘンドリーが「400シリングあるからドルと交換してくれ」と言ってきましたが、ドルはないので断りました。

マサイ族の村に行くのはツアーに組み込まれていたので行きましたが、こういうことだとは予想していました。国に保護されている国立公園の中でこんなデタラメな商売をしているマサイ族にガッカリです。まるで人間の食物の味を覚えて民家に出没するクマやキツネのように、観光客の落としていくカネに汚染されていました。中途半端な資本主義の持ち込みによってマサイ族はすっかり腐りきっていました。野生動物の保護とともに、別の意味で彼らの保護が必要だと思いました。

ホテルへの帰り道、念願のライオンを見ることができました。遠くにメスが見えました。運転手は裸眼で「あそこにライオンが寝ている」と言うのですが、僕らは双眼鏡を使わないと見えないくらい遠い。他のサファリカーと無線で連絡を取り合っているらしく、情報はすぐに伝わります。マサイ族にガッカリした後の口直しでした。

ホテルで2時間休憩し、16時からサファリに出発。夕日が差し、風があるのでキリマンジャロにかかった雲がゆっくりと流れていきます。この調子だと頂上が見えるかもしれません。

ライオンの群れ

車を進めると、晴れているからか野生動物の数が多く、圧巻です。こんなに多くの野生動物がこの一帯に共生していることに感動。ケニヤに来て本当に良かったです。少し進むと、雌ライオンがいました。車から20mほどです。先着のサファリカーは目の前に停まっているので5mほどです。

ライオン情報を無線で聞きつけたサファリカーが次から次へとやって来て、ライオンの前は大渋滞です。しかも車が巻き上げる土埃でライオンも僕たちも埃まみれ。そこに夕日が差しているので、チャゲアスの「太陽と誇りの中で」タイトルそのままです。

群れの中に雄はおらず、雌だけです。みんな寝転んでくつろいでいます。そこに20台くらいのサファリカーがどっと押し寄せてカメラを向けているのですが、ライオンは別に気にも留めない様子。30分ほどライオンを見ていましたが、ライオンと反対側にキリマンジャロにかかっていた雲が晴れて頂上が見え出しました。

キリマンジャロ

サファリカーの客たちはライオンに飽きて、反対側のキリマンジャロの写真を撮り出しました。標高5,895m、雄大です。マサイ族ですっかり気が滅入っていましたが、これで回復しました。

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