カードローンと債権、債務の関係【債権、債務とは】

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カードローンと債権、債務の関係【契約とは】

目次

債権の発生要件

お金と債権の関係」で書いた通り、債権とは、特定の「人」に対して、一定の財産上の行為(給付)の要求をする権利です。その裏返しとしての債務であり、債務は一定の財産上の行為(給付)を要求に応える義務があります。

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債権の発生要件は以下の4つ(契約、事務管理、不当利得、不法行為)です。

契約(民法522条)

ナウシカで例えると、

ナウシカ:ユパ様!この子私にくださいな!
ユパ:お、おお、構わんが。

ナウシカがユパに「テトを私にください」と申込みをし、ユパが「構わんが」と承諾をしているので、譲渡契約が成立し、テトの所有権がナウシカに移りました。

民法

(契約の成立と方式)
第522条
 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

カードローンでお金を借りることは「消費貸借契約」といいます。ここでポイントとなるのが「相手方から金銭~を受け取ることによって、その効力を生ずる」という部分です。つまり、カードローンに審査申込をして審査通過。無人契約機でカードを受け取ったり、アプリをダウンロードしただけでは消費貸借契約の効力は発生していません。なぜなら、まだお金を借りていないからですATMでお金を引き出したり、アプリで振込申込をして振込まれたときに初めて消費貸借契約の効力が発生します。

民法

(消費貸借)
第587条
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

契約の成立から効果発生まで

STEP
契約成立要件

1.カードローン審査申込「お金を借りたい」

2.カードローン審査結果「お金を貸します」

3.ATMより現金引き出し、振込によるキャッシング

STEP
契約の有効要件

・意思表示の有効性:冗談半分ではないか、未成年の申込みではないか。契約が有効か、取消ができるか、無効か。

・契約内容の有効性:確定性、適法性、社会的妥当性があるか。1つでも欠けたら契約は無効となります。

STEP
効果帰属要件

契約が有効となる場合でも、契約が代理人を通じて行われたときには、本人に効果帰属するためには効果帰属要件を満たす必要があります。代理には①制限行為能力者の代理、②法人の代表、③任意代理の3つがあります。

STEP
効力発生要件

契約に条件や期限がある場合、それらが満たされないといけません。条件とは「審査に通ったらお金を貸してあげよう」というもので、将来の成否不確定な事実にかからせるという内容の意思表示といいます。期限とは「満年齢20才~74才の安定した収入のある方」というもので、年齢満20才になったらお金が借りられるようになるという、将来到達することが確実な事実の発生にかからせるという内容の意思表示です。

事務管理(民法697条)

義務なくして他人のためにその事務を管理(処理)することです。例えば、向かいの家が旅行で留守中に、台風で屋根に穴が空いたので応急処置してあげた場合。「大きなお世話だ、放っておいてくれ」と言う人もいるかもしれませんが、大抵は「ありがとう、助かりました」と言うでしょう。

本人(屋根を修理してもらった家の人)の意思に反しない事務管理の場合、本人は管理者(屋根を修理した人)が支出した有益な費用を償還する義務を負います(民法702条1項)。

本人の意思に反する事務管理の場合、本人が現に利益を受ける限度においてのみ、償還する義務を負います(民法702条3項)。

民法

(事務管理)
第697条
① 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
② 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。

(管理者による費用の償還請求等)
第702条

① 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
② 第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。
③ 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前二項の規定を適用する。

不当利得(民法703条)

法律上正当な理由がないのに、他人の財産または労務から利益を受け、その他人に損失を及ぼした場合に得られた利益のことをいいます。例えば、誰かから間違って振込みがあった場合。その振込みは商品の代金かもしれませんし、旅行の宿泊料金かもしれません。本来ならば、お店や宿が受け取るはずだったお金が間違って自分の口座に振り込まれたので、受け取る法律上正当な理由がありませんよね。

そこで、不当利得返還請求権が発生します。原則、利得した現物を返還し、現物返還ができないときは価格(金銭)賠償をしなければいけません。誤振込の場合は金銭での賠償になります。

民法

(不当利得の返還義務)
第703条
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

不法行為

ある者が他人の権利ないし利益を違法に侵害した結果、他人に損害を与えたというときに、被害者が加害者に対して金銭賠償を請求する債権が発生する制度のことです。例えば、Aさんの運転する車がBを撥ねた場合、BさんはAさんに「治療代100万円と慰謝料200万円を払え」と請求できます。請求内容は具体的な金額を示す必要があります。

民法

(不法行為による損害賠償)
第709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

まとめ

債権と債務は表裏の関係にあり、どちらか一方だけの存在はあり得ません。債権(債務)の発生原因は契約、事務管理、不当利得、不法行為の4つですが、カードローンと関係のあるのは契約です。契約は「申込み」に対して「承諾」することで成立しますが、カードローンの消費貸借契約の場合は「お金を借りる」ことで成立します。なので、キャッシングカードを受け取ったりアプリをダウンロードしたりするだけでは契約はまだ成立していません。そしてお金を借りない限り、いつでも契約を解除できます。

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